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夏の終わりに観たい名作『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』

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奥菜恵

 夏の終わりはいつになっても切ないものである。そんなシーズンにぴったりの映画が岩井俊二監督による『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』であろう。

 地方の学校に通う小学生たちの、夏休みの1日、登校日からその日の夜に行われる花火大会までを描いたものだ。花火を横から見ると丸いのか平たいののか。その結果を確かめようと町外れの灯台へと向かう。さらに、彼らのクラスメイトの美少女との淡い恋も描かれる。花火、恋、冒険と夏のキーワードがてんこ盛りの名作である。

 2017年にアニメ映画としてリメイクされた本作は、当初はテレビドラマとしてオンエアされた。1993年8月26日にフジテレビ系のドラマ『ifもしも』の一話として放送されている。この日は関東地方に台風が接近しており帰宅を急ぐ人が多く高視聴率を記録した。さらに、岩井監督はこの作品で、日本映画監督協会の新人賞を受賞する。テレビドラマ作品による受賞はきわめて異例であった。さらに、1995年には劇場公開もされている。

 この作品は熱狂的なファンを持つことで知られている。なぜかといえば、作品が持つ圧倒的な映像美があげられるだろう。岩井監督はビデオ映像に加工をほどこすことで、8ミリフィルムのような、ざわつきのある質感を表現した。それが夏の懐かしさを喚起させるのかもしれない。

 本作には奥菜恵のほか、子役として『人間・失格』『3年B組金八先生』へ出演していた反田孝幸、『あっぱれさんま大先生』の山崎裕太など、当時としては第一線のキャスティングも観ものである。特に14歳だった奥菜の美少女ぶりには要注目である。

 最初の放送から25年を経ても語り継がれる名作に触れてみてはいかがだろうか。

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