奇妙な帽子をかぶり、長いコートに手に棍棒を持つ6mの怪人物として描かれたイラストは当時の探検家の興味を煽り、未知の人類発見への大いなる原動力となったとされる。
ところが現代の研究では「パタゴン」は190センチ程度の身長だったとされており、我々が想像するような巨人よりはややスケールダウンしたものだったとされる。
しかし、古い歴史を紐解いていくと世界にはもっと奇妙な巨人伝説が残っている。
イラストは「ブレムミュアエ(ブレムミュエス人)」という人種を描いたものである。
一見いただくとわかるが頭がなく、胸部分に人間の顔らしきものが付いている。身長は3mの巨人で全身から光を放つとされている。まるで『ウルトラマン』に出てくる元人間の怪獣「ジャミラ」のような怪人である。
スラリとしてスタイルの良い佇まい、憂いをおびたような表情、そして花のような植物を優しく持つその姿はいかにも「知的ナルシスト」という感じだ。
今見ると思わず笑いを誘うような奇妙なイラストだが、1500年代においては世界の無人島にこのような頭のない人種が本当に住んでいると思われていた。
実際にブレムミュアエの目撃談のようなものも資料に残っており、世の探検家が「頭のない人種」を探すために世界を冒険し、多くの大陸を発見できたという話もある。
現在では地球の探検はほぼ完了し、人類の枠を超えた先住民はいないとされているが、見つかっていない無人島はまだまだ地球には残っており、可能性は捨て切れたものではない。
宇宙人・未確認生物とともに未知の先住民についても研究が待たれるところである。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)