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アベノミクス実像と虚像 おやじ世代の転職事情最前線!(2)

 転職活動をする際に一般的となっている手法は、転職サイトへの登録、転職エージェントとの契約である。
 なぜ、転職サイトを利用する必要があるかというと、求人には、当該企業がHP等で公開している公開求人と、HP等では公開せず転職サイト内のみでしか閲覧・応募することができない非公開求人が存在するからだ。しかも非公開求人の方が圧倒的に多い。
 例えば『リクルートエージェント』の求人情報によれば、5月某日付の公開求人は1万8914件、非公開求人は9万2474件となっており、非公開求人は公開求人の約5倍だ。これでは転職サイトを使わざるを得ない。
 企業側からすれば、この『リクルート』や『インテリジェンス』といった大手転職サポート企業に求人情報掲載を依頼することで、より多くの転職希望者の目に留まることが期待される他、情報更新等煩わしい業務からも解放されるのだ。

 さて、40代の転職環境を『インテリジェンス』の転職サイト『DODA』で検証してみよう。
 5月某日時点で検索対象となっている求人は1万8224件。仮に東京都で働くとすると、東京の求人は9029件だ。その中で、「社会人経験10年以上歓迎」の求人は883件。「年齢不問」の求人に絞り込むと、わずか83件にまで減少してしまう。
 いきなり厳しいが、これが現実だ。実際、多くの求人の中に「社会人経験5年程度まで」「第二新卒歓迎!」「30歳(35歳)前後の方が多く働いています」という文言が並んでいる。
 さらに、「求人票の条件に年齢が明記していなくても、年齢で足切りをしている企業は多いです。年齢不問としっかり書いていない求人以外は“裏”に年齢条件があると思っていただいた方がいいと思います」と転職エージェントのA氏は言う。「賃金の大幅減少など不利益を生じない転職を望むのであれば、異業種への転職では30代前半、同業種への転職でも35歳前後が現実的なデッドラインでしょう」(同)

 もちろん、40代で転職が成功しないわけではない。
 「他者が保有していないような専門的スキル」「ビジネスレベル英語力」「マネジメント経験」というキーワードをクリアしていればであるが…。言い換えれば、スペシャリストであれば転職可能ということである。この条件がどれだけハードルが高いものかは、自身に照らし合わせてみればよくわかるだろう。

 『残念ながら今回はご希望に添えない結果となりましたが、貴殿の今後のご活躍をお祈り申し上げます』
 これは、学生が新卒採用選考に落ちた際に届く通称“お祈りメール”の例。対して中途採用選考では、
 『今回はご期待に添えない結果となりました。ご了承くださいますようお願い申し上げます』
 このように、今後の活躍を祈られることなどない。
 現在、第二新卒を除く転職希望者において、書類審査の通過率は同業種への転職で3割程度、異業種への転職で1〜2割といわれている。つまりスペシャリストではない40代に対しては、このようなメールが大量に届くことになるのだ。

 それでも転職市場が活発化している背景には、前述の転職エージェントによるイメージ戦略がある。テレビCMや電車の車内広告を利用し「転職=新しい自分を探す」、あるいは「転職=チャレンジ」といったイメージをサラリーマンに植えつけている。
 繰り返しになるが、スペシャリストではない40代は、自分にプラスになる転職どころか転職先を見つけることすら難しいのである。

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