まずアフリカだ。コンゴ共和国は2011年8月に衛星を用いた監視システムを導入、同年12月に自国沖禁漁区で操業中の中国漁船を見つけ69隻に退去令を出した。
16年3月14日には、アルゼンチンの沿岸警備隊が違法操業の中国漁船を撃沈している。自国の領海に中国船が侵入を重ねても何の実効措置も取らない日本とは対照的な対応だ。
「日本人から見るとアルゼンチンの対応は性急で強硬に映るかもしれませんが、国際社会ではアルゼンチンの軍事力行使を非難する声は上がりませんでした。中国漁船の違法操業に頭を悩ませるベトナムやインドネシア、フィリピンでは拍手喝采の論調でした」(国際ジャーナリスト)
続いて、先ごろ起きたメキシコ海軍VS違法操業を指揮していた中国マフィアの銃撃戦だ。
「ナマコ、アワビ、フカヒレと合わせて『参鮑翅肚』と呼ばれ『中国4大海味』の1つで、絶滅が危惧される高級魚ニベ科の『トトアバ』を採るため遠路メキシコまで進出していたのです。狙いはトトアバの浮き袋を乾燥させた『魚肚』といわれる物で、中国では若返りの効果があるとされる漢方薬として珍重されており、非常に高値で取引されますから、中国マフィアの資金源になっているのです」(中国ウオッチャー)
銃撃戦が起きた場所は、メキシコ西海岸のカリフォルニア湾で、メキシコ海軍の艦船が今年4月下旬の深夜、カリフォルニア湾内で、トトアバを密猟している不審船約20隻を発見、拿捕しようとしたところ、不審船から大量に石が投げられた。さらに、武装した一団が重火器を使って抵抗したため、機関銃などで制圧し数十人を逮捕し中国司法当局に連絡、中国側に引き渡した。
「中国司法当局の起訴状によると、これまで約8億元(約130億円)相当が密漁され、中国に密輸されており、中国南部広東省江門市を根城にしている広東マフィアの構成員11人を起訴しています」(同・ウオッチャー)
中国や香港では、トトアバは乱獲がたたって絶滅危惧種に指定されており、現在は禁漁となっている。中国マフィアはここ数年、メキシコのカリフォルニア湾に頻繁に現れて密漁しており、メキシコ当局もその傍若無人ぶりについにキレたというわけだ。