私が学生の頃に付き合っていた時の話です。当時、私は美術系の学校に通っていて、そこの先輩と交際していました。私も彼も映画好きということで、デートは映画館に行くことも多かったです。彼は映画好きなので、家にはたくさんのDVDがあり、よく貸してもらったことを憶えています。
学生の頃は背伸びしたくて、あえてハリウッド映画などは見ず、小難しいミニシアター系の映画ばかり見ていました。でも当時は、マイナーな作品はあまりDVD化されていなかったので、昔の映画などはビデオで見ていました。レンタル店にも今よりまだビデオが置いてあり、よく借りていたのですが、ある作品が見つからず諦めていたんです。でも彼は、昔ダビングしたビデオを持っているというので貸してもらいました。
それから、課題やバイトなどが忙しくなり、ビデオを見ることなく、時は過ぎて行きました。そして、彼ともうまくいかなくなり、別れたんです。それから数年、ビデオを借りたままなことをすっかり忘れていた私は、ある日、自宅で再生してみました。もう芸術系の映画に興味がなくなっていた私は、途中からウトウトしてしまい寝落ち。それでしばらくして目を覚ますと、映画はクライマックスでそのままエンドロールが流れ始めました。ボーっと画面を眺めていると、突然、画面が乱れて別の映像が現れました。そこには、半裸で縛られた女性が映っており、口には、さるぐつわが付けられ「うー、うー」と唸っていました。最初はAVか何かだと思ったのですが、ずっと女性の1カットが続き、彼と思われる声で、「怯えている表情が撮りたいからあまり動くなよ」みたいな言葉が聞こえてきたのです。私は気持ち悪くなり停止ボタンを押し、ビデオはすぐに捨てました。どういった背景で撮られたものなのかはわかりませんが、彼とは別れてよかったと思います。
写真・zimpenfish