「肝臓がんを患っていたという話もありますが、もしかしたら、周囲に心配をかけないために大病を抱えていて1人で悩んでいたのかも」(ベテラン映画関係者)
あまりにも突然の訃報だった。一部スポーツ紙によると、緒形さんの姉が5日に亡くなったことを認め、「葬儀が終わった後、正式に発表させていただきます」と答えたという。緒形さんは、先月30日に都内で行われたフジテレビ系ドラマ「風のガーデン」(9日スタート)の会見に出席していた。
「緒形さんは自分の健康を気にして玄米中心の菜食主義だった。これまで大病をしたことはなかった」(同)
昨年秋には、激しい腰痛を抱えながら舞台をこなしたため、腰椎圧迫骨折で入院。手術を受けたが、約1カ月で退院した。それほどプロ意識がすさまじかったようだ。
「たとえ、子役であっても、演技のヘタな役者には容赦がなく、鉄拳制裁をお見舞いすることもあった。長男の幹太、次男の直人は父の後を追って俳優の道に進んだが、ライバルとしてみていたため、演技指導をすることは決してなかった」(演劇関係者)
その妥協しない姿勢は質の高い仕事につながり、映画「楢山節考」、「復讐するは我にあり」、「家宅の人」などの名作に次々と出演。00年には紫綬褒章を受賞。一方では、お茶目な面もあったという。
「『徹子の部屋』に出演した時に緒形さんが明かしたんですが、無類のドラえもん好きだったんです。映画を見に行った際に時間つぶしに寄ったゲームセンターで、大きさ50センチほどのぬいぐるみを3つも取り、それを抱えて映画館に入ったそうです。ただ、興味があるのが、ドラえもんだけなのか、それ以外に知っているのはのび太くんだけ。ドラえもんに耳があったことや、妹のドラミちゃん、しずかちゃん、ジャイアン等の存在は知らず、『これはゲーセンにないね』と苦笑していた」(テレビ朝日関係者)
遺作となったドラマ「風のガーデン」では、緒形さんは主役の中井貴一演じる麻酔科医の父親役。会見では、中井に対し「代表作になるよ」と笑顔で太鼓判を押していたのだが…。
昭和の名優がまた1人逝った。