▽12日 大田区総合体育館 観衆4,000人(超満員札止め)
昨年12月のKNOCK OUT両国国技館大会で、能登龍也を相手にリベンジを果たした、“キック界のプリンス”石井一成。今年の初戦は現在タイで大人気の“オネェボクサー”ノンロスとの異色対決がマッチメイクされた。ノンロスはタイで権威のある現ラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級7位のランカーで、容姿と心はホンモノのオネェとはいえ、21歳の実力派キックボクサー。“神童”那須川天心世代である19歳の石井とは、年齢が近いこともあり、苦戦を予想する声も少なくなかった。
しかし、石井は1ラウンド目から優位に試合を進めると、2ラウンド2分を迎えたところで、左ボディブローがヒットし、ノンロスが崩れ落ちた。石井は今年最初の試合をKO勝利で終え、マイクを持つと、KNOCK OUTの継続参戦とフライ級トーナメントの開催をアピール。これに対して、超満員札止めのファンからは大きな拍手で支持を受けた。
■石井一成インタビュー<全文掲載>
−−試合を振り返ってみて。
今年最初の試合で、いいスタートを切るために勝つと決めていたので、相手がオネェファイターと騒がれてたんですけど、僕の中ではそんなの関係なくて、タイのランカーで僕より格上の相手だったので、絶対倒そうと思ってて、昨年…負けがちょっとあったので、今年は絶対に勝ち続けようと決めているので、そのいいスタートになったかなと思っています。
−−ボディでのKO勝ちだったが、勝ち方的には?
勝ち方的には、相手がムエタイだったので、もうちょっとテクニックとか見せたかったのはあるんですけど、まあ、ボディとローはずっと狙っていたので、それで倒せて良かったです。
−−ラジャラムナンのランカーに勝ったことでタイトルも見えて来たのでは?
今回は絶対に勝って、次は向こうから再戦を申し込んで来るというか、向こうで再戦に呼んでくれたらいいなって。ラジャで。それで勝てばランキングにも入って来ると思うし、これに勝ってもう1回出来ればいいと思います。それで、また勝ってラジャのベルトやランキングに入ればいいなと。
−−実際、オネェと闘った感想は?
そうですね…。最初はやっぱ、やりづらかったですけど、きのうも計量で僕が思っていた以上の女の心を持っているというか…女の子だったので、ちょっと、ホントにきのうもやりづらくて、おととい夜中に試合の組み立てをしてたら、夢に出てきて(笑)。その…試合とかじゃなくて(笑)。それぐらい意識はしてましたね。
−−夢を見たことで、やりにくさはあった?
ありましたけど、絶対倒してやろうと思いました。
−−今大会のファーストインパクトは残せたと思うが?
今回の試合もまだ全然ダメだったと思います。課題はたくさんありますね。
−−今後の目標は?
今年は絶対に負けずに勝ち続けて、フライ級王座決定トーナメントを開催してもらえたらいいなと思います。そこで勝ち続けて、年末にはベルトを1本巻きたいと思っているので、KNOCK OUTのみなさんお願いします(笑)
−−昨年は勝ち抜けなかった年だったと思うが、12月の両国で能登選手にリベンジを果たして、きょうこういう形で、かなり強い選手を相手に連勝出来たのは、良い年末年始になったのでは?
そうですね。いいスタートと、昨年はいい締めが出来たのかなと思ってます。
−−今、日本人の軽量級はタネ・ヨシホ選手が堂々と石井選手と試合をやりたいと発言するなど、追われる立場になっていると思うが?
はい。そうですね。
−−その辺も含めてKNOCK OUTのフライ級トーナメントをやってみたい?
そうです。今、KNOCK OUTでフライ級で強い選手が出てますし、トーナメントをやって、そこで優勝した選手が日本の一番だと思うので、僕も昨年の6月に負けて、これでタイのチャンピオンとか言ってても仕方ないので。トーナメントやって一番を決めた方がいいかなと。
−−ライト級のトーナメントが刺激になった?
刺激を受けましたね。両国のメインイベントで最後に森井さんがKOしたのはやっぱ、見てて、僕も感動というか凄く刺激を受けたので、そこを目指したいですね。
−−今年の国内での活動はKNOCK OUT中心になる?
そうなります。
▼51.5kg契約(3分5R)
○石井一成(2R 2分15秒 KO)ノンロス・バーンジャロンスック●
石井の発言を受けてKNOCK OUTサイドが実現に動くかどうかだが、この日から開幕したスーパーライト級王座決定トーナメントの他に「年内にもうひとつトーナメントをやりたい」と語っていた小野寺力プロデューサーが、昨年「軽量級がここまでやるのは大きな収穫」と軽量級戦線に熱視線を送っていただけに、それがフライ級になる可能性はかなり現実味がありそうだ。
KOが難しいと言われているフライ級で、石井や能登のようにKO率の高い選手が揃っているのもKNOCK OUT向きの階級かもしれない。石井はマスクも良く、コメントもしっかりしているだけに、しっかりと勝ち続けていけば軽量級で那須川天心のようなムーブメントを起こせる可能性を秘めた逸材。トーナメントが実現すれば、石井包囲網がさらに厳しくなるのは間違いないが、それを乗り越えなくては、ムーブメントは起こせない。石井にはフライ級の顔として常に前を走る存在であってもらいたい。そこにタネや能登らライバル達が噛みついていけば、かなり面白い闘いが見られるだろう。
◆KNOCK OUT 2018 日程
4月14日 カルッツ川崎
5月3日 エディオンアリーナ大阪第2競技場
※大阪初進出!
6月8日 後楽園ホール
8月19日 大田区総合体育館
取材・文 / どら増田
カメラマン / 舩橋諄