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日本より韓国で論争巻き起こった闇サイト殺人犯の死刑執行

 6月26日、韓国メディアは『闇サイト事件』(愛知女性拉致殺害事件)の中心人物、神田司死刑囚(44)の死刑が執行されたと一斉に詳報した。日本ではサラッと報道されただけだが、なぜか韓国は大違い。しかも各紙、1997年12月を最後に死刑執行をしない韓国政府への批判に多くのページを割いていた。
 「一連の報道は《被害者の母親が犯人を死刑にすべきと訴え、日本の裁判所もこの訴えを受けて暗黙のルールを破った》ことを挙げて称賛したのです。韓国で'04年に21人を殺害した凶悪犯や'07年の女子小学生2人が殺害された事件では、犯人に死刑判決が下ったもののいまだに死刑は執行されていません。また、返す刀で日本の死刑制度を批判するアムネスティ(国際人権NGO)にも死刑賛成派から批判が及びました」(韓国在住ジャーナリスト)
 これは今年5月、韓国を訪れたスイスの人権特任大使が、韓国の国会が死刑廃止を検討していることを称賛し、「アジアの中で死刑制度を廃止する可能性が最も高い国」と高く評価したことに対する反発だ。

 韓国の死刑執行方法も日本と同じ“絞首刑”。現時点で死刑囚は57人おり、中には執行されないまま22年も収監されている死刑囚もいる。また、韓国政府は『人民革命党事件』がトラウマになっているという。
 この事件は朴正煕政権下の大韓民国において、韓国中央情報部が社会主義性向のある個人を告訴した2度の訴訟事件。韓国大法院(最高裁)は被告8人に死刑を宣告し、判決から18時間後に刑を執行したことから、司法による殺人事件と呼ばれた。その後、事件は捏造と判断され、'07年に死刑執行された8名全員が無罪の判決を言い渡された。
 「これを教訓に死刑反対を訴える意見も根強いのです。判決にも誤審がある。従って死刑制度は廃止すべきという世論の声です」(同)

 韓国の複数メディアは、こうした歴史的背景が被害者遺族の悲痛な声をかき消しているとして、「朴槿惠大統領の性格では、今後も死刑を執行する可能性は非常に低い」と嘆いている。

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