習志野高校が批判を受けているのは、選手ではなく応援団だ。1回戦から全国トップレベルの吹奏楽部が甲子園に駆けつけ、同校のオリジナル曲「レッツゴー習志野」や、高須クリニックのCM曲として有名なSOFFet with Tokyo Junkastic Bandの「Beautiful Smile〜NO MUSIC, NO LIFE〜」や、アフリカンシンフォニーなどを「美爆音」で演奏。さらに、応援に駆けつけた生徒たちも大声を張り上げ、まさに「大応援」を繰り広げていた。
これまでにも甲子園では同様の応援をしてきた習志野だが、今回はなぜかその応援に一部から批判が殺到。2回戦の星稜高校との試合で近隣住民から「応援がうるさい」と苦情が入ったニュースが報道されると、「確かにうるさい」「あんなうるさい応援っておかしくない?」「応援がうるさいから嫌い」「あれは野球の応援ではない」など、一部のファンが批判の声を挙げたのだ。
習志野高校は批判を受け、準々決勝から大太鼓を3つ体制から1つに変更するなどの対応を取ったが、批判は相変わらずで、「学校外の人間に苦痛を与え続けるな」「高校野球が近隣住民にかけている迷惑を考えろ」「相手校の選手もあれを聞かなければならない。不公平だ」など批判を浴びせ続けている。
一方で、別の高校野球ファンからは「何でも批判する精神はおかしい」「たかが3時間程度の応援、それくらい我慢できないの?」「阪神のほうがうるさい。関東の高校を差別している」「高校野球は特別なんだから我慢しろよ」など、習志野を擁護する高校野球ファンも多い。
「鳴り物応援は球場周辺住民の理解があって成立するものです。近隣に住宅の多い球場では鳴り物応援禁止という球場も多く、プロでは楽天生命パーク宮城や、かつての藤井寺球場はトランペットなどの応援は一切禁止でした。また、球場によっては大太鼓だけ禁止など、条件を設けているところもあります。
当然、甲子園も近隣住民への配慮は必要です。高校野球だから許されるということはありません。しかし、それは主催者である高野連が事前に近隣住民から許可を得ておくべきであり、習志野高校だけが『うるさい』と批判されるのはおかしい。理解が得られないのであれば、トランペットや太鼓の数などに上限を設定するべきでしょう。そうでなければ、ドーム球場でやったほうが良いと思います」(野球関係者)
長年、「派手な応援は名物」と考えられてきた高校野球。しかし、屋外球場である以上、近隣住民から「うるさい」と批判が来ることは、当然とも言える。
平成最後の選抜高校野球は、「サイン盗み」「握手拒否」「応援の騒音」など、様々なシーンが物議を醸すことになった。高校野球ファンが「美徳」「名物」と信仰してきたことが、一般人には「歪み」と感じることが多く、受け入れられなくなっているということだろう。
文・櫻井哲夫