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「第2次アイドル戦国時代」突入の予感

 8月5日から3日間にわたって催される大型アイドルイベント「TOKYO IDOL FESTIVAL 2016」。その初日に、AKB48チーム8が初出演することが発表された。SKE、HKTに続き、いよいよTIFに乗り込んできた「AKB」。第2次アイドル戦国時代の幕を開けるのは、やはりAKBか!?

 今年も、TIFの季節がやってきた。2010年に創設され、初年度は45組の出演で「前代未聞の大型アイドルフェス」と言われていたTIFも、今年はすでに過去最多の220組の出演が決定。観客動員数も過去最高だった昨年の5万1481人を上回ることが予想されている。アメリカ『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙のブログでも、3大ロックフェス(フジロック、ROCK IN JAPAN FESTIVAL、サマーソニック)や東京JAZZと並び、「日本で見るべき夏の音楽フェス5選」として紹介されている。さまざまなアイドルフェスが催されるようになった昨今でも、これだけ外せない必聴必見のイベントだ。

 アイドルファンが最も注目する一大フェスに、日本で最も有名なアイドルグループ「AKB」が満を持して出演。これは間違いなく一大ニュースだ。

 今回出演する「チーム8」は、全国47都道府県から1名ずつ選ばれた47人のメンバーで、2014年に結成。「会いに行ける」ではなく「会いに行くアイドル」がコンセプトだ。そのほかのAKB48のチームとは活動の内容・規模が異なり、国民的な知名度を持つメンバーもいないが、「AKB」の名がTIFに乗り込んできたという事実の大きさは変わりない。また、今年のTIFには、欅坂46も初参加。48と46が多くの注目を集めることになるだろう。

 48グループでは、2012年にSKE48がTIF初参加。2013年からは指原莉乃率いるHKT48が3年連続で出演し、“48グループのTIF担当”との呼び名もあるが、現状、今年の出演はアナウンスされていない。そんなHKTの指原莉乃が、今年のはじめ、1月1日に気になるツイートをしている。

 「HKTっていうより、、AKBが出たほうがいいと思う! わりとまじで」(原文ママ)

 TIF2016へのHKT出演の可能性について答えたものだが、プロデュース能力やアイドル業界全体見渡す力には、「秋元康以上」との声もある指原の言葉だけに、賛否両論、大きな反響を呼んだ。そして、指原の言葉通りになった。アイドル業界に押し寄せている新たなうねりや、そのなかで48グループが置かれている状況などを俯瞰した上で、ある種の「勝負」が必要だと感じての発言だったのだろう。いつものことながら、彼女の先見性や突破力のある言葉には驚かされる。

 TIFと言えば、近年はハロプロ勢の出演も積極的だ。今年は、こぶしファクトリー、つばきファクトリー、“準ハロプロ”とも言えるチャオ ベッラ チンクエッティ、アップアップガールズ(仮)、吉川友、Bitter&Sweetらがエントリー済みだ。

 初期からTIFを観てきたアイドルファンや、ブレイク前のアイドルを愛する人のなかには、AKBやハロプロなど、大メジャーどころの出演を快く思わない気持ちもあるかもしれない。確かに、大メジャー系グループが出演すれば、メディアの注目や人の流れはそちらへと向きがちになる。また、イベントの規模が大きくなるほど、45組のアイドルを見守っていた頃の、ある種、牧歌的な空気は失われていくだろう。

 ただ、ブレイクを目指すアイドル側にとっては、これほどのチャンスはない。AKBにしろハロプロにしろ、大メジャー系アイドルグループのファンというのは、視野狭窄的になる場合がある。応援するアイドルに誇りを持つあまり、非メジャーアイドルを見下しがちになることも。ただ、アイドルにはそれぞれの魅力があり、非メジャーアイドルを見下してしまうアイドルファンも、単なる「食わず嫌い」である場合が少なくない。

 そんな、盲目的とも言える固定観念を壊すきっかけになるのが、TIFのような大型アイドルフェスなのだ。また、アイドル業界にとっても、フェスは大きな意味を持つ。レベルの近いアイドルが集まるイベントよりも、レベルや客層がまったく異なるアイドルが一堂に会する大型フェスの方が、新規顧客の掘り起こしや業界全体の活性化に繋がるのは間違いない。

 楽しみ方としてはいささか横道に逸れるが、AKB勢、ハロプロ勢、さらにはももクロ勢などのメジャーアイドルが同じステージに上がれば、メンバー同士のライバル意識はもとより、「どこのグループがトリを取る?」など、水面下での鍔迫り合いにも興味が湧くのがオタク心だ。

 昨年末のフジテレビ『FNS歌謡祭』。48グループ、坂道シリーズ、スターダスト軍団、そしてハロプロが出演したコラボ企画で、AKBやももクロよりも低い扱いを受けたことに、ハロプロファンが不満の声をあげたのは記憶に新しい。

 こうした状況で思い出されるのが、2010年の8月、現在は閉館・建替え中の渋谷公会堂(当時、C.C.レモンホール)で催された「アイドルユニットサマーフェスティバル2010」だ。2日にわたって催された同イベントに出演したのは、SKE48、ももいろクローバー(当時)、bump.y、そしてスマイレージ(現・アンジュルム)の4組。当時のももクロは、まだメジャーデビューを果たしたばかり。水面下の戦いは、48グループを代表して出演するSKEと、ついに“鎖国”を解いたハロプロのスマイレージとの一騎打ち。結局、1日目のトリをスマイレージ、2日目をSKEで分け合うことで落ち着いた。

 「アイドル戦国時代」という言葉が公に誕生したのも、このイベントだった。開演前の囲み取材の際、スマイレージの福田花音がバチバチのライバル意識を見せながら、「アイドル戦国時代」を宣言したのだ。

 最近では、「アイドル戦国時代」という言葉も耳にしなくなり、「アイドルブームは終わった」とも言われがちだが、今年のTIFのラインナップやその規模を見れば、「新たな戦国時代」の幕開けにも思えて仕方がない。

 プロレス的な物語としては、戦国時代ののちに「泥沼時代」を味わったアンジュルムのリーダー・和田彩花が、福田花音の遺志(空気を読む力)を受け継ぎ、取材陣を前に少々過激な発言をしてくれると実におもしろいのだが、今のところ、アンジュルムのTIF出演は発表されていない。

 あとは、2010年の初回に出演しているももクロがTIFに帰ってきたら、まさしくアイドル戦国時代の再来だ。メジャーマイナー入り乱れて繰り広げられる、「第2次アイドル戦国時代」を宣言するのは誰だ?

【リアルライブ・コラム連載「アイドル超理論」第35回】

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