しかし、初日と2日目で5勝を挙げ、その差を縮めた五十嵐冬に、勝利の神様が最終日に降りてきた。前半から勝ち鞍を積み重ね、第8競走でプリティネイムを勝利に導いた時、リーディング争いを見守る場内のファンもどよめいた。
「この時はさすがに自分も鳥肌が立ちましたね」と、五十嵐冬は当時を振り返る。その後サクラハーンでも逃げ切り、山口竜に勝ち鞍で並び、2着の数でリーディングの座を守った。
そして昨年、シーズントップから快進撃が始まり、146勝と31年ぶりに年間最多勝利数を更新。7年連続8度目のリーディングを最高の形で飾った。
「いい馬に乗せて頂いた結果だし、今年も感謝の気持ちを持って乗るだけです」と、不動のリーディングジョッキーでも謙虚な姿勢は今でも変わらない。
「昨年は馬インフルエンザの影響で中央に乗りに行く機会が少なかったので、また夏の北海道シリーズで結果を残したいですね。それと、うちの厩舎の2歳馬は粒ぞろいなんで、楽しみにしています」と08年のシーズンに意欲を燃やす。努力を惜しまない北の荒鷲は、さらなる飛躍を目指す。