大学生の時に私は夜の世界に飛び込んだのだけど、20代前半は出勤前に食事に誘ってくるくせに、そのまま同伴してくれない客のことは、“ケチなやつ!”なんて思ってた。たぶんほとんどのキャバ嬢が客から出勤前に食事へ誘われたら同伴を期待するんじゃないかな。男はキャバ嬢とのプライベートを望むけど、私達からしたら出勤前の客との食事も仕事のうちだから。
それに同伴だと店に伝えれば遅刻しても怒られないし、同伴手当てももらえるから、なんとか連れて行きたい。だから昔はお客から誘われた時は「食事の後、同伴してくれる?」ってわざわざメールで返信したりしてた。でもそういう同伴を直接頼んだり、それを匂わせるようなやり取りは、たぶん他のキャバ嬢からもアプローチをかけられているだろうし、お客さんのテンションを下げてしまうことになる。
だからここ数年、私は同伴してくれるしてくれない関係なく、食事には付き合うようになった。そこで私が心がけるのは、店内でなくともお客さんを精一杯楽しませるということ。そうすれば最初は同伴する素振りのなかったお客さんも、一緒にお店に来てくれる場合もある。それに来てくれないお客さんがいても、別れた後に丁重にメールしておけば次に繋げることもできるからね。
若い時は好きに働いてればよかったけれど、私も20代後半になってきて、これからは1人1人のお客さんを大切にしていかなきゃなと思うようになった。だから今はお客さんとの食事は、出来るだけ受けて、楽しむようにしている。
(取材/構成・篠田エレナ)