二走ボケの原理は人間も同じです。骨折や腱、靭帯などを悪くして長く入院、または通院したことがある人には分かると思いますが、直ってリハビリをいくらしても、全力で走るには不安があるもの。そして、走った後、次の日から足、腰が何日も痛かった経験があると思います。馬も同じで、休み明けで好走した後、次走まで痛みや疲労が残ってしまった時、二走ボケの原因になると考えられます。
さて、馬が長期にわたって休養する場合、さまざまな理由がありますが、ササ針もそのひとつとなります。
7〜8cmぐらいの笹の葉の形をした小刀で、首、肩、胸前、背、腰、尻と、馬の全身を刺していく治療法で、ササ針をする理由は次の2つです。
(1)疲労からきたうっ血した血を流す…悪すぎると刺しても血が出ないか、または真っ黒な血が出ます。
(2)レースや調教中のアクシデントにより、筋肉と皮膚がはがれてしまい、中に空気が入ってしまうことがあります。ササ針をすることにより、はがれをなくし、空気を出して正常な状態に戻し、体調を整えます…空気が入っているところを刺すとプシュ、プシュと音がします。音が多かった所が悪い部分です。
ササ針治療をした後は刺した個所に、塩と酢を混ぜたものを塗り、1週間から10日ほどおいてから、徐々に運動からピッチを上げていって、3〜4カ月かけてレースに復帰できるようにします。
笹針をした後、休養期間を短くしたり、調教を早めすぎると、仕上がりが悪くなったり、仮に鉄砲は利いても二走ボケの原因になったりします。