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研究者の海外流出防げるか?理研、無期雇用を増やすと発表

 4月5日、理化学研究所(理研)は優れた研究者が安心して研究に集中できるよう、研究者約3000人のうち、定年まで働ける“無期雇用”の割合を現在の15%から40%に引き上げる中長期計画を発表。この発表を受け、同日の『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)では、研究者が置かれている劣悪な労働環境が紹介された。

 まず、経済学者の高橋進氏は「先進国はイノベーションのスピードを競っています。どの国でも一緒ですけど、若手の研究者が寝食忘れて仕事に没頭できる、そういう環境があって初めて、研究成果も上がるし成長していくんです」と、研究は常に“国際競争”にさらされていると指摘。「そういう意味で、若手の層が厚くなっていくことがイノベーションの鍵になっていく」と話す。若手研究者が成長し、イノベーションを起こすには研究者の労働環境を整えることが必須だと提言した。

 高橋氏は続けて「日本は若手研究者が非常に短い任期で、安い給料で働かされ疲弊している」と研究者が優遇されない状況に苦言を呈した。

 また、理研への取材経験がある日経ビジネス編集委員の山川龍雄氏は「現役バリバリで研究をやっている人は、5年でほとんど(契約が切れ)入れ替わるような状況になっている。これは世界的に見て考えられない」と指摘。長期的な契約が交わされず、研究者が流動的に入れ替わり同じ研究所に固定されない現状を明かした。

 山川氏は続けて「ようやく正しい方向に向かっているのかなって気がしますね」と理研の発表を評価。今後の状況改善を期待した。

 ネット上では「研究者がどれだけ冷遇されているか、もっと知られるべき」「若手が働きやすい環境になってほしい」「こんなんだから日本は遅れてるんだよ」と研究者の労働環境改善を望む声が多く寄せられた。

 劣悪な待遇や研究環境に嫌気が差しているのか、多くの日本人研究者が海外に流出している。これからの日本を背負って立つ優秀な若手が日本からいなくなる可能性は十分考えられる。労働環境の改善はかなり早急に取り組まなければいけない問題と言えそうだ。

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