−−今の女子プロの状況をどう思う?
「クラッシュ・ギャルズとかすごい時代からすれば、低迷していると思うけど、これが今の時代だと思います」
−−クラッシュブームの時代は知ってる?
「おそらく小学校にも入ってないんで、見てたとしても記憶にないですね。物心がついたとき、アジャ様(アジャ・コング)がバラエティーに出てたりしたのを覚えています。『THE 夜もヒッパレ』に出てましたよね」
−−どんな印象を受けました?
「見た目が怖くて、テレビのチャンネルをすぐに回しちゃいました…(笑)。女子プロレスというのは、怖いイメージがあったんですよ。殴ったり、蹴ったり、血を流したりっ…。顔にペイントをしてるのも、子供心にものすごく怖かったです」
−−プロレスに入るきっかけは、吉本興業がアクション女優を育成する企画“アストレス”でした。
「どうにかして、この子より売れなきゃいけない、コイツには負けたくないっていうのがいっぱいありましたよ。ライバルが売れてくれば、プロレスの試合は1試合目より2試合目って、ソイツより上の試合に出たかった。ホント、火花バチバチでしたね」
−−それがリングで出たら面白い。ただ、今は、なにせ観客が入らない。
「プロレス中継が男子でも削られてるのが、大きな理由ですよね。やはり、地上波は大きい。テレビを何気につけて、チャンネルを回して、女子プロレスをやっていて面白かったら見ちゃうじゃないですか。有料放送じゃそれはない。やっぱり地上波ですよ。今、2年くらい前から、ラジオをやってるんです。『プロレスリング WAVEゴールデン5 GONG』(レインボータウンFM、水曜日、21時〜22時)。生放送でやってますんで、聞いてくださいね。まずは、女子プロを盛り上げるためにコツコツとね」
−−桜花さんが有名になって、女子プロもブレーク?
「スターが出て、人気が出なきゃどれもダメなんですよ。今、就職難でとりあえずって職に就いてる子が多いじゃないですか。そういう子にぜひ、プロレスを見てもらいたい。すごく魅力のある商売なんですよ。1度きりの人生なんだから、やりたいことを見つけてほしい。とりあえず働くのってもったいないじゃないですか。そんな子が女子プロを見てファンが増えれば、女子プロ界も活性化するし、ライバルも増えるし、比例して人気も上がる。そしたら、私の夢である、月9に主演で出られるじゃないですか。相手? 松本潤さんなら最高! 女子プロの会場に若い女性の皆さん、足を運んでね」
◎声なくしても華麗に舞うカナリア
桜花は、声を失くしたカナリアだ。
小さいころから、タレントにあこがれ、プロレス界に入るまでは芸能事務所に所属。そこで、ボイストレーニングや演技のけいこなどに明け暮れていた。
転機が訪れたのが、吉本興業女子プロレスJdが始めた、アクション女優を養成する部門“アストレス”だった。桜花は、募集と同時に迷わず応募し、合格した。アクションスターへの道をこじ開けようとしたのだ。だが、不運にもJdが解散。アストレスも散り散りとなってしまう。その後、桜花が選んだのは、女優の道ではなくプロレスだった。
その選択は、美しい桜花の身をも削った。桜花の夢は、女優というのもあるが、一番は声優だった。デビュー当時はカナリアのようなかわいらしい声で話していたのだが、本格的にプロレスを始めたために声優の命であるのどがつぶされてしまったのだ。
プロレスラーの大半は、声がかすれている。それは、のどにキックやチョップを何度も受けて、声帯が壊されたためだ。その上、声が出なくても出さなければ先輩に叱られる。それを繰り返すうちに声がかすれる、出なくなる。で、かすれるのが当たり前になってしまうというレスラーならではの職業病でもある。
「こんなかすれた声の声優さんもいますからね。いいんです。今しかできないプロレスをやりたい」
それでもプロレスをやりたいという気持ちは、いつか、美しい声が無くとも人の目をひきつけるカナリアとなって、大空を飛び立つはずだ。