いわばミリタリー系プラモの最高峰ともいえる戦艦部門で、不動の人気を誇るのが「大和」だ。特に話題になりそうな2隻の大和を紹介しよう。
まずはタカラトミー(本社=東京都葛飾区)から新発売された「地上航行模型シリーズ戦艦大和」(希望小売り価格・税込み2万3100円)。サイズは700分の1。
同社担当者によると、「初心者には色塗りがハードルになっているので、模型でありながら、最初から色が塗られています」とのこと。彩色の苦手なマニアにもうれしい気遣いだ。
しかし、一番の魅力は完成させた大和をコントローラーを使って動かせること。水上ではなく地上で、前・後進、左右旋回が自由自在。主砲の角度を変えられるほか、主砲発射音や波きり音、高角砲発射音、汽笛、警報などの効果音を出すこともできる。自動航行モードでは、大和が最期を迎えた昭和20年4月7日12時32分以降の航跡と攻防を約10分に短縮して自動再現するという。玩具メーカーならではの発想で、新時代のプラモデルを予感させる。近日中に同シリーズで「戦艦武蔵」も発売予定だ。
一方、どこまでも忠実な再現を目指す本格派にオススメなのがフジミ模型(本社=静岡県静岡市)から今月中にも発売予定の「大和終焉型」(税込み1万5750円)だ。サイズは500分の1。
とにかく細部までこだわり抜いた。呉市の大和ミュージアムの協力を得て、新考証を7カ所盛り込んだ。同社の広報担当者は「海底調査の情報を盛り込みました。現時点のリアルさでは、ほかのプラモデルはもとより、大和ミュージアムの大和よりも進んでいると思います」と胸を張る。
「目の肥えた方ばかりなので、お客様の好みにあわせていくところまできてしまいました。しかし、パーツが多いのでまったくの初心者は苦労するかもしれません」とのこと。玄人はそんな難しいものこそ燃えるはず。
「動く大和」と「超本格派の大和」。どちらを選ぶ? もちろん両方選ぶのもありだろう。先の大戦を振り返りつつ、当時世界最強といわれた戦艦大和を自分の手でつくりあげる。その醍醐味たるや相当なもの。プラモデルに馴染みのないマニアの関心も集めそうだ。
◎戦艦大和とは
大日本帝国海軍が建造した史上最大の戦艦。全長は263メートル。大艦巨砲主義の象徴とされる。1941年に就役。45年4月7日、米軍機1000機以上の猛攻撃を受け坊ノ岬沖で撃沈された。性能を発揮する場がほとんどないまま最期を迎える。現在は長崎県男女群島女島南方176キロメートル、水深345メートルの地点に沈没している。