「渡辺恒雄(読売新聞グループ本社)会長が、あえて『13年目、14年目』と口にしたのは原続投の空気を作る意味もあったのでしょう」(ベテラン記者)
原監督は今季、指揮官として通算12年目のシーズンを迎えた。2013年オフに交わした再々契約の任期は2年。つまり、今季が2年契約の最終年であり、後任人事の問題も解決しなければならない。
今季、原巨人はV9以来となるセ・リーグ4連覇を目指す。だが、一昨年は日本シリーズで敗れ、昨季もクライマックスシリーズで敗退。チーム打率もVチームとは思えないような低い数字だった。チームの戦力は右肩下がりでありながら、めぼしい補強もしていない。長期政権によるマンネリ感もあってか、チームの士気もさほど高まっていないのが現状だ。
「昨季終盤、大田泰示を四番打者に抜てきし、今季開幕第3戦で新人の高木勇人を先発デビューさせたのは、マンネリ感を打破するため。長期政権による弊害は原監督も自覚しているようです」(同)
原監督自身も長期政権ゆえの弊害は分かっている。進退問題は意識しているはずだ。だが、まがりなりにもセ・リーグ3連覇を果たしたチームの後任監督、ましてや巨人の監督を任せられる人間は少ない。
「プロ野球OBには監督志望者は掃いて捨てるほどいるはず。巨人OBも例外ではありません。でも、いまの巨人ならば二つ返事というわけにはいかないでしょうね」(プロ野球解説者)
後任として常に真っ先に名前の挙がる松井秀喜(40)は時期尚早と考えているのか、答えを煙に巻いたままでいる。
「ゴジラ松井は答えを曖昧にしたまま。兼任コーチとなった高橋由は時期尚早。阿部を兼任監督にする状況でもない。あとは川相ヘッドの昇格、もしくは、OBの桑田真澄氏を呼び戻すくらいしか思い浮かびません」(前出記者)
渡辺会長の「13年、14年発言」が出たのは、開幕直前に催された『燦々会』でのこと。燦々会は財界人による巨人応援組織であり、人事を含めた悲観的な話が出ると、その後の球場広告やテレビ放送時のスポンサー問題に影響しかねない。渡辺会長は「(過去の)11年間で7回優勝して3回日本一になっているんですよね」とも語ったのは、まさに原続投を意識してのことだが、指揮官の実績を語ることで財界要人も抱いている原巨人のマンネリ感を吹き飛ばすためでもあったようだ。
「適当な後任も目の前にはいないわけだから、そういうことになってもしようがないですね。まあ、原君。がんばってくれよ」
そんな渡辺会長の締めの言葉に、当の原監督は苦笑いを浮かべていた。巨人の今季のスローガンは『新成』。読売グループの状況を考えると、『新成』ではなく、『親政』がお似合いだろう。問題をこじらせることにならなければいいが。