写真中央にふたりの男性に腕を捕まれた謎の生命体が写っている。写真が不鮮明なため、細部まではわからないが体にはブチ柄の模様があり、顔は猫のようにも見える。また、頭には巻貝のような形をした王冠(?)らしき物体をかぶっているようにも見えるが、正体はよくわからない(頭には触覚のようなものが生えているという指摘もある)。
『バンパイアビースト』は当時のタブロイド紙によると1954年1月にアメリカのノースカロライナ州の小さな村に出現。豚や山羊、牛といった家畜を襲い、血をすべて吸い取り殺害したという。血を吸う怪物といえば南米のプエルトリコに現れた『チュパカブラ(チュパカブラス)』が最もメジャーな未確認生物であるが、チュパカブラの登場は1995年と比較的新しい部類であり、バンパイアビーストはチュパカブラの登場から遡ること約40年前に登場していたことになる。現れた場所から考えてもバンパイアビーストはチュパカブラの元祖的な存在と言えるだろう。
バンパイアビーストが登場した当時、アメリカでは「未知の生物が現れた」と騒ぎになっていたようで新聞では写真付きで報道し、バンパイアビーストの捕獲に多数のハンターが参加したという記述が残っている。
その一方、バンパイアビースト探しに対しハンターが多く集まりすぎたことで、ハンター達に身の危険が及ぶとし当時の市長が警告を出すという異例の出来事も発生していたという。
その後、バンパイアビーストらしき生物が捕獲され新聞に報じられたことで騒動は収まり、ノースカロライナ州には再び平和な日々が訪れたという。未確認生物の事件としては実にあっけない最後ではあるが、犠牲者も多数出した事件だけに無事に解決できたことは非常にめでたいことではある。
なお、チュパカブラは2015年に新しい情報が公開された。2015年1月中旬頃、チリ中部のモンテ・パトリアにて牙の生えた恐ろしい姿の動物型ミイラが発見されたのだ。
死体のみのため、本当にチュパカブラだったのかどうかはわからないが、世界のチュパカブラ研究にまた再び火がつきはじめているのは間違いがないようだ。
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)