一軒飲みに行くと、その編集女子は決まって上機嫌になるのです。そして、私に対して、
「キャバクラに行きましょう!」
とよく叫ぶのです。
「どうして、そんなにキャバクラに行きたいの?」
と聞くと、
「女の子に触りたいっす」
と応えます。飲むと「オヤジ化」する編集女子なのです。
ある日、その編集女子と水着のガールズバーへ行きました。そこで、ガールズバーの女の子からちやほやされたのです。ガールズバーの女の子からすれば、女性客は少ないので、うれしい気持ちになることもあるようです。抱きついたりして、楽しく過ごしていたようです。
「番号、聞いちゃいました」
と編集女子。そして、少し寂しげにこんなことも言いました。
「どうして、彼女たちはあんなに楽しそうなんだろう。私はきつい仕事をしていて、仕事中にあんなに笑顔を出せないです」
そう言って、楽しかった時間が過ぎると、仕事中に笑顔を出せない自分とのギャップに悩んでいる様子でした。でも、ガールズバーの女の子のメールのやりとりが出来て、それなりに生活の中でのアクセントができたようです。
後日、その編集女子と再び、飲むことになりました。その友人も一緒です。案の定、一件目の後には「キャバクラへ行きましょう!」と言ってきました。私の知り合いの客引きに電話をすると、新店が出来たようで、女子2人とそちらの店に行くことになり、女性は無料にしてもらいました。
3人で行った店は、水着のガールズバーとは違って、華やかなドレス系のキャバクラです。働いているのは19歳から23歳くらいが多いようでした。華やかな世界を見た編集女子は、顔がとろけそうになっています。ほんと、奇麗な女性を見るのが好きなようです。手のひらを見ながら、手を握るなど、やっていることが「オヤジ」そのままです。
その店を後にすると、
「渋井さん! もっと行きましょうよ!」
と、ノリノリな気分になっていました。何がしたいのか? と聞くと、
「女の子に触りたいっす」
と、さらに「オヤジ」発言を繰り返していました。結局、この編集女子が気に入った水着のガールズバーに行きました。そこで、再び、ガールズバーの女の子たちにちやほやされて、喜んでいました。表情がもう崩れっぱなしです。かわいい子に相手にされるのは、男性だけでなく、女性もうれしいようです。
<プロフィール>
渋井哲也(しぶい てつや)フリーライター。ノンフィクション作家。栃木県生まれ。若者の生きづらさ(自殺、自傷、依存など)をテーマに取材するほか、ケータイ・ネット利用、教育、サブカルチャー、性、風俗、キャバクラなどに関心を持つ。近刊に「実録・闇サイト事件簿」(幻冬舎新書)や「解決!学校クレーム “理不尽”保護者の実態と対応実践」(河出書房新社)。他に、「明日、自殺しませんか 男女7人ネット心中」(幻冬舎文庫)、「ウェブ恋愛」(ちくま新書)、「学校裏サイト」(晋遊舎新書)など。
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