「今年も結局は続投が決まりました。太田英昭社長一人に責任を負わせた格好です」(会場に来ていた株主)
しかし、今年の総会は思わぬ爆弾がさく裂した。質疑の時間、ある株主が同社の議事運営に“やらせ疑惑”があると暴露したのだ。
「昨年の総会質疑では、質問に立った16人のうち9人が社員株主などの“やらせ”だったという総務局作成のメモがある」
このメモは立派な内部告発だ。すなわち、9人は会社側の業務命令で総会に参加し、会社側の意を汲んだ質問をする人たちだったということ。議長を務める日枝会長が挙手している株主の中から社員株主ばかりを指名するので、本気で会社を追及しようとしている株主たちの発言機会が少なくなったことになる。
「フジ側は質問に対し、沈黙したままでしたね。確かに今年も何人か“やらせ”質問をする株主たちがいました。台場へのカジノ誘致推進にエールを送ったり、動画配信事業の戦略を聞いたり、会社側に堂々と事業説明する機会を与えるだけでした」(経済誌記者)
さらに、開始3時間過ぎに事件が起きた。
「60歳過ぎと思われる株主から、質疑打ち切りと採決の動議が出されました。その動議を受けて、日枝議長は会場に同意を求めて、総会を終わらせてしまいました」(同)
実はこの手法、同社は数年前にも使ったことがあるらしく、顧問弁護士から「そういうことをすると会社法に違反し、総会自体が無効になる」と厳しく注意されたという。
近年は日枝会長自身が議長権限として、強引に総会打ち切りを行っていた。この“やらせ動議による質疑打ち切り”について株主は「訴訟を起こす」と怒りを隠さない。
フジの“やらせ体質”はまさにDNAレベルだ。