「次に14勝以上で優勝なら、推挙の対象になる」と、横審から綱取りを認定されているだけに、本人も期するところがあるだろう。
一方、対照的だったのが、2場所連続して全勝優勝した横綱・白鵬(29)。優勝の余韻に浸るかのように雑用三昧の日を過ごし、やっと土俵に降りたのは稀勢の里よりも10日ほど後のこと。それもたった1日だけで、翌日には客員教授に就任した都内の拓殖大キャンパスを訪れ、「教授として恥じないよう、精進、努力します」と、まるで横綱伝達式の口上のような抱負を述べている。
さらに、この翌日には北海道に飛び、観光大使をつとめている滝川市で自らの名前を冠した“白鵬米”の田植えに参加したり、拓大北海道短大で初講義を行ったりした。
「6月初めにはモンゴルにも帰国し『久しぶりに楽しく過ごせた』と話していました。過密スケジュールのせいか、9日に両国国技館で行われた北の湖理事長の還暦土俵入りに遅刻し、大きな汗をかいていましたね」(担当記者)
白鵬が稽古嫌いになったのは、去年の夏場所から秋場所にかけて優勝から遠ざかっているとき、猛稽古したにもかかわらず一向に結果が出ず、「やり過ぎはよくない」と悟ったからだという。しかし、結果を伴わなくなったら批判され、叩かれるのは必至だ。
果たして笑うのは白鵬か、それとも稀勢の里か。蟻とキリギリス−−2人の結果に注目だ。