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新幹線自爆テロより恐ろしい “待機老人”52万人の大暴走が始まった!(2)

 林崎容疑者のような独り暮らしの高齢者は全国で600万人に迫り、その半数近くが年収120万円未満の生活保護世帯以下の水準。国は、こうした高齢者が最後の頼みの綱にしている年金さえ少しずつ減らし、医療・介護費用の負担は徐々に増やそうとしている。
 消費税が10%に引き上げられる'17年4月以降、さらなる生活苦に陥ることは目に見えているのだ。
 「今年度からは、生活困窮者自立支援法が施行されており、杉並区では『くらしのサポートステーション』が開設されて相談に乗っているが、孤立した独居老人はこうした情報さえ知らない可能性が高い」(前出・社会福祉士)

 加えて深刻なのが、“待機老人”の問題だ。
 これは、身よりもなく、行政のサポートが必要であるにもかかわらず、公的な老人ホームなどへの入所がかなわない人々のこと。
 厚生労働省発表の「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」によると、その数は'14年3月の集計で52万3584人にも上る。この大半が、行き場のない“待機老人”だと考えられるのだ。
 「同年の厚生労働省の公式計数によると、『保育所入所待機児童数』、いわゆる“待機児童”は4万3184人ですからね。預ける先はなくとも、最低限の生活は親が面倒をみている児童と、“終の棲家”もなく食い詰めている老人たち…どちらが深刻な問題であるかは論を待たない」(前出のジャーナリスト)

 同じく'14年の人口動態統計では、1人の女性が一生に産む子供の平均数が1.42となり、9年ぶりに低下。出生数から死亡数を差し引いた人口の自然減はマイナス26万9488人で、マイナス幅も過去最大となっている。
 子どもが減り続ける一方で高齢者は増え続けており、人口に占める高齢者の比率はますます高くなり続ける。
 東京都ですら、'20年に人口が1335万人でピークを迎え、その翌年からは急ピッチで高齢化が進行していくと予測しているのだ。
 「林崎容疑者が借金督促におびえる最中に起きたのが、約125万件にも及ぶ年金記録の漏えい事件。長年、コツコツと払い続けた最後のよりどころを管理する行政に、まるで緊張感がないことを露呈しました。自分たちの保身しか考えず、年金生活者を“ゴミ同然”に扱う日本年金機構と厚労省の姿勢が、彼を絶望へと追い込んだのかもしれません」(全国紙社会部記者)

 安倍政権は、以前から待機児童の解消には熱心だったが、いまだ解決には至っていない。それどころか、「戦争法案」の成立に躍起になっている。彼らにしてみれば、“待機老人”問題など、まったく眼中にないのだろう。
 選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法は“老人切り捨て”の一歩なのかもしれない。
 林崎容疑者のように、暴走する“待機老人”が続出しないことを願うばかりだ。

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