抗がん剤の副作用による嘔吐を抑える新薬候補を、膨大な種類の化合物ライブラリーから選別したというのだが、実際は著者の一人が別の目的で合成して得られたものだったという。STAP細胞に比べると地味なため、ほとんど脚光を浴びなかったにせよ、トップ企業が小保方サンよりもはるか以前に手を汚した揚げ句、コッソリ論文を撤回したとあっては彼女と同罪だ。
大スポンサーである同社への配慮からか大手メディアのほとんどは頬かぶりを決め込んだが、だからといって今後とも“寛大”な対応を取り続ける保証はない。
「業界の盟主とのブランドとは裏腹に、武田は去年から糖尿病薬訴訟、医師の臨床研究へのマネー疑惑、さらにはクリストフ・ウェバー社長の誕生に創業家と有力OBが猛反発するなどスキャンダル体質をさらしてきた。今年の6月総会では長谷川閑史会長-ウェバー社長コンビにひと泡吹かせたいと思っている面々が、クーデターを仕掛けないとも限らない。去年の総会は創業家の武田國男・前会長が彼らを抑えましたが、國男さん自身も今や『乗っ取られた』と公言している。これで反対勢力が総決起したら、相当なお家騒動に発展します」(経済誌記者)
そんな修羅場を恐れたのか、ここへ来てフランス人であるウェバー社長のサノフィCEO転出説が浮上している。サノフィは日本での知名度こそ低いが、世界3位の医薬メーカー(本社・フランス)で、武田を圧倒する。
もしも武田初の外国人社長が敵前逃亡すれば、彼を担ぎ出した長谷川会長は逆風にさらされる。それでなくても医薬品の特許切れが相次ぎ、厳しい生き残り策を強いられるのだ。
武田の非常事態が確実に迫っている。