とくに前走のエルフィンSは「これは3着か4着だろう」と師が覚悟したほどの苦しいポジション。その潜在能力、破壊力は計り知れない。
今回はそれ以来の実戦になるが、当初の予定通り。オークスまで見据えたゆったりした日程が組まれた。「レース後は放牧に出して、桜花賞から逆算して帰厩。調教を積んできた。間隔をあけて落ち着きが出てきたし、何より馬がたくましくなってきました」。栗東では坂路中心に順調に乗り込まれてきた。仕上げに抜かりはなさそうだ。
今回の課題は距離か。前走はマイル戦で快勝したものの、伸びやかな馬体で父も“長距離砲”のマンハッタンカフェ。陣営もどちらかといえばオークスに魅力を感じている。
師も「マイルはいくらか忙しい」と認めている。だが、一方で「直線の長い阪神ならチャンスはあるはず。何よりウチの馬はまだ負けていないんだから、未知の魅力で」と未対戦のブエナビスタを意識していた。
師はジョッキー時代に挙げたGI6勝すべてが牝馬。なかでも、桜花賞は1997年キョウエイマーチ、2000年チアズグレイスと2勝している。「騎手は追い切れば、あとはレースまで(スタッフに)お任せだけど、調教師はずっと緊張しています」。そう笑った横顔に、神様は一番似合う舞台を用意した。
【最終追いVTR】坂路で800メートル53秒6→37秒7をマーク。ゴール前で鞍上に目いっぱい追い出されると、シャープな伸び脚を見せた。ラストは計時不能ながら、2F24秒0のタイムから11秒台は出ていたはず。実戦同様、切れ味は抜群で、仕上がりは文句なしだ。