片桐はお笑いや俳優業の傍ら、粘土細工に打ち込み、国内外で作品展を行うなど芸術家としても活躍。「ゴッホの展示会に行って、衝撃を受け、画家になろうと美大に行った」とその経緯を紹介すると、「でも、そこは絵がうまい子ばかり。もう描きたくないと思った時にお笑いと出会ったんです。それで漫才をやったらウケた」と職業を転々とした若き日を回顧。
「大学出たら芸人になろうと思って、ネタ見せをやるようになったけど、全然ウケない。絵もウケない。俺はなんだって思った。その後、相方に恵まれて、お笑いはそこそこいったんですけど、テレビに出た際、ひな壇でうつむいていたら、ある映画監督が『そのうつむいた表情いいよ』って、誘ってくれて役者の道へ」とユーモアたっぷりに人生を振り返る。幅広い活動にも抵抗はなかったといい、「僕がやりたいことを一つ一つやれば、人のつながりや自分の世界がもっと広がっていくんじゃないかって」と前向きにジャンルを問わず活動。
その後、「粘土を盛ろう」と芸術活動も再開。「俺半テープ台」「カレイphone」などの作品を発表して、「自分が美術館になる」とそれを常に持ち歩くようになり、アーティスト片桐仁が誕生したとのこと。「便利なものを使いづらくする」のが自身の作品のコンセプトだといい、「使いづらくすることでコミュニケーションが生まれる、そしてチャーミングですよね」とにっこり。
次の舞台は世界だといい、「外国でやりたいと思っていたら、台湾の方が呼んでくれて台湾で作品展が実現しました」とも報告。今後の目標は「最新医療を自身に投下し200歳まで生きる」ことだとも明言。「健康でいるために自分をサイボーグ化します」と意気込んで会場を笑わせていた。
(取材・文:名鹿祥史)