「育成枠から2人を昇格させ、球宴明けの後半戦に挑むつもりでしたが、予定通りにはきそうにありません」(球界関係者)
そもそも、阪神はこの『残り2人枠』を中継ぎ投手と内野手に充てるつもりでいた。前者はBCリーグ・群馬を経由していた左腕、ロバート・ザラテ(24)を、後者は育成3年目の内野手・藤井宏政(21)を昇格させるつもりでいたが、ここに来て、スンナリとは決められなくなった。
まず、救援としての実績も高い久保田智之(30)が不調で二軍落ちした。しかも、今季前半戦の救援陣を支えてきたと言っても過言ではない新人左腕・榎田大樹(24)が“夏バテ気味”で、調子を落としつつある。そうなると、150キロ強のストレートを持つザラテの昇格を急がなければならないが、こんな情報も聞かれた。
「昨今のザラテは、軽めの練習で上がる日が多いんです。調べたら、ザラテは腰痛を抱えているのが分かりました」(ライバル球団スコアラー)
阪神フロントは軽症なのか否かを、今見極めているそうだ。
榎田にこれ以上の無理はさせられない。久保田も復調まで2週間以上は掛かるとも言われている。ザラテの腰痛もどうなるか分からない。ここでクローズアップされたのが、左ヒザの故障・手術で育成選手にまわされていたベテランセットアッパー・桟原将司(28)の存在だ。
「桟原については、真弓監督も故障が癒えていれば、70人枠に最初から入れておきたかった投手と見ています。桟原を昇格させるのが、いちばんの安全策ではあります」(前出・関係者)
支配下登録枠の1つを桟原に与えるとすれば、ザラテの昇格は見送られるだろう。だが、チーム内には「左腕・榎田に無理をさせないためにも、ザラテも昇格させるべき」との意見もある。また阪神は、二遊間を守れる内野手が不足する緊急事態にも陥った。西武から黒瀬春樹(26)をトレード補強したことで解消されたとはいえ、「再び内野陣に故障者が出たら…」と、藤井宏の昇格を推す声も強い。
もっとも、二軍調整の決まった久保田だが、『不振』は長引くものではないらしい。
「久保田の不調はピッチングフォームをマイナーチェンジさせた影響です。ある程度の投げ込みをさせなければなんとかなる。1カ月くらいで一軍復帰できるのでは」(在阪メディア陣の1人)
多少時間が掛かったとしても、久保田が確実に復帰できるのなら、タイプこそ違うが、『右のセットアッパー』である桟原は“重複”する。当初の予定通り、ザラテ、藤井宏の昇格で落ち着くかもしれないが、後半戦は連戦が続く。中継ぎ投手は多いに越したことはないので、「ザラテ、桟原を挙げるべき」との“3つ目の選択肢”を推す声もあるそうだ。
「最終判断は真弓監督に委ねるようです」(前出・同)
責任重大である−−。真弓監督は性格的にもマジメなタイプなので、考え込んでしまうことも多い。久保田の復調、桟原のモチベーション、ザラテの腰痛具合、藤井宏を含めた内野手のやり繰り…。『残り2人枠』の生かすには熟考しなければならない要素がたくさんある。決断の締め切りは7月末。チームの命運を分ける重要な決断でもあるが、真弓監督の去就を決めることにもなりそうだ。