戦争にまつわる都市伝説は意外に多い。不思議且つちょっとホロリとさせられる話が多いのも特徴だ。ここでは、『何者かが日本軍を助けた都市伝説』、と題してそんな話を紹介しよう。
嚆矢は、キスカ島から撤退、の都市伝説だろう。
「第二次世界大戦時、敗走する日本軍が米軍領のキスカ島に上陸した作戦は完全に失敗で、後は死を待つしかなかったんです。しかし、万策尽き果てた日本軍の前に濃霧が発生。しかも、米軍艦隊は海上に存在しない日本艦隊エコーを捕捉し、大量に砲撃をした。事態が混乱を極める中、米軍の士気は乱れ同士討ちをするなどし、日本軍がキスカ島から脱出出来た、という神風的な伝説があります」(都市伝説に詳しいライター)
不思議な話は、これで終わりではなかったようだ。
「当時、同じ米軍領アッツ島では、日本軍はほぼ全滅していました。しかし、キスカ島のミッションを見事に成功させた日本軍がアッツ島を過ぎる際、同島から友軍の万歳三唱が響いて聞こえた、という都市伝説があるんです。米軍海域からの脱出ですから、キスカ島からの撤退は、奇跡でしょう。死んだ“仲間”が助けてくれたのかもしれません」(同)
玉砕前にアッツ島の兵士たちが皆で万歳三唱をしたのは史実のようである。それにしても、なんとも泣ける話ではないだろうか。
いっぽう、天狗が敵機を撃ち落してくれたから自分は戦火で生き残った、などという都市伝説もある。
「古来、UMA=天狗に日本軍が助けられた、という帰還兵による話がたくさん存在します。『天狗と一緒に闘って、羽根を失いながら護衛してくれた』、『天狗が身を挺して砲弾を受けてくれたため、すんでのところで命を得た』というような話です。天狗も、一緒に故郷から出兵でもしたのでしょうかね(笑)」(同)
調べてみると、富山県の上市町では、「天狗が敵の撃った砲弾を投げ返してくれたから助かった。天狗からは、『ほんとうのことは誰にも話すな』と言われた」という男の話が、民俗伝承譚として残っている。ほかに、戦地にUMAや妖怪が倒れていた という都市伝説も多いのだ。
我々に憑依する“物の怪”のイメージは、そこにはない。