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エコカー補助金復活! 浮かれる自動車業界宴の後の地獄絵図(2)

 幸か不幸か、自工会の会長は5月にトヨタの豊田章男社長に交代する。そのため志賀会長の御託宣通りになった場合でも矢面に立つのは豊田“新”自工会会長ということになる。
 「実はエコカー補助金を巡ってトヨタと日産は因縁の間柄にある。前回の補助金が人気を博したことから監督官庁の経済産業省は密かに延長を検討したのですが、自工会にその気がないことから断念した。笑ってしまうのは、その理由です。あのときは“プリウス減税”と陰口されるほどトヨタが断トツの恩恵を受けた。だから延長すればトヨタを利するだけと考えた日産の志賀会長が、頑として延長をのまなかったと噂になったのです」(情報筋)

 復活した今回のエコカー補助金でも最大の恩恵を受けるのはトヨタ。対象車両が35車種であるのに対し、ライバルの日産は19車種、ホンダは15車種と圧倒する。そのため「補助金の大半はトヨタが独り占めするのではないか」との怨嗟の声さえ渦巻いている。
 問題は、この血税争奪戦が終了した後である。
 一足早く家電エコポイント制度の宴を謳歌した家電量販店の場合、ネット販売に活路を求めたケーズホールディングスを除けば、各社とも需要の先取りによる反動から大幅減益に見舞われている。自動車業界も前回の補助金制度が終了した直後の'10年10月には、新車販売が前年同月比23%も落ち込んだ。従って今年の秋口辺りから、トヨタを筆頭にまたゾロ厳しい反動に見舞われるのは間違いない。

 前出の業界ウオッチャーは「政府公認の麻薬にドップリ浸かった以上、簡単には立ち直れない。それこそ虎視眈々と乗っ取りを画策する外資には千載一遇のチャンスでしょう」と指摘、返す刀でこう喝破する。
 「国内の反動減を補おうとすれば輸出に活路を求めるしかありませんが、自工会の志賀会長が懸念するように、1ドル=80円台の円高が続けば白旗を掲げるしかない。となると残された道は、価格競争という名のダンピング販売に打って出るしかないが、原価割れを続ければ体力が持たない。そこまで覚悟してエコカー補助金の復活にすがったのだとすれば、自業自得というほかありません」

 奇しくも今年の2月、昨年の世界販売実績で3位に滑り落ちたトヨタは「2012年のグループ世界販売台数を前年比21%増の958万台にする」とブチ上げた。
 過去最高を更新する極めて野心的な計画だが、関係者を唖然とさせたのは国内の大幅な販売増を織り込んだこと。復活した補助金効果を当て込んでいるようだが、これぞリスクの塊に他ならない。それだけに御曹司の自工会会長就任を「さては補助金延長シフト」と囁く声しきりである。

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