同番組にて中田は、自身のブログで、暗にダウンタウン・松本人志を批判したことによって「吉本が全社をあげて大騒ぎし、幹部と社長に今僕は『謝れ』と言われている」と明かした。
ことの発端は、脳科学者の茂木健一郎氏が2月にツイッターで投稿した「日本のお笑い芸人たちは、上下関係や空気を読んだ笑いに終始し、権力者に批評の目を向けた笑いは皆無。後者が支配する地上波テレビはオワコン」という主張だった。
するとこの意見は大きな波紋を呼び、3月19日のバラエティ番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)では、松本がこの件に関して「このニュースを観た時に、全然腹が立たなかった。なんでかと思ったら、茂木さんが全然、面白くないからなんですね。笑いのセンスが全くないから、この人に言われても刺さらない」とバッサリ。さらに翌週は茂木氏本人が出演し、釈明することとなった。
この一連の流れに対し、茂木氏の意見に賛同していた中田は、4月15日のブログにて「メジャーな先輩方が全員反対派だったので、がっかりしてしまいました。(略)茂木さん負けるな!と思っていたところ、大御所の番組に出演して大御所に面白くないと言われ公開処刑をされてしまいました。大御所にセンスがないとか価値を決められてしょげ返っている様子こそが茂木さんの意見通りだったのに。茂木さんの指摘、当たってたのに。なんで『ほら、これですよ』と言えなかったのだろう。まあ、あの場では言えないか。怖いですもんね」と投稿。これが松本批判と受け止められ、会社から謝罪要求をされる事態となっているようだ。
だが一方、ネットでは、この騒動に関して「騒いでいるのは会社の人間だけでは?」「松ちゃん自身は、いちいちこんなことで怒ってない気がする」と、冷静な意見も飛び交っている。
そんな松本といえば、以前『ワイドナショー』にて、ある人物に対してはハッキリと不快感を表したことがある。それはバイオリニスト・高嶋ちさ子が、家庭のルールを守らなかったことで、息子のゲーム機を破壊したという話題を取り上げたときのこと。その際、松本は高嶋の行動に対し「俺、こういうゲームを完全に否定する人間嫌いやね。ゲームで感動することもあるんだぜ! 学ぶこともあるしよ!」と声を荒げた。またゲームを破壊したことについては「例えば僕の子どもがね(約束を守らず)バイオリンを弾いてて、バイオリンをバキバキにしたら、この人は何て言うんでしょうね? この人はバイオリンに命かけてるわけですよ。それをバキバキにされる。ゲーム機を一生懸命作っている人からしたら、このバキバキ写真はやっぱり良い気はしないですよ」とゲーム製作者たちの心中を想いやった。
そこまで松本がゲームに肩入れするのも、彼がゲーム好きというだけでなく、その業界にリスペクトする人間がいるからなのかもしれない。かつて松本が、マリオシリーズの生みの親である任天堂・宮本茂と対面した際、以下のように語っている。
「(今まで)のめり込んだゲームが10タイトルくらいはあって、当然その1タイトルにはパート2やパート3もあったりするんです。全部で10タイトルくらいで。ただそれはとことんやり込んじゃうんですよ。やり込んでやり込んで、その10タイトルのうちの約半分以上が、ほんとに数年前に気付いたんですけど、宮本さんのゲームでした。当然、宮本さんの作品を選んでやってたんじゃなくて、後で気づいたら宮本さんのだった。“なんだコレは”と思って。あー、この人凄いなーって。なんかもう、嬉しくなっちゃって。凄い人に会うと、嬉しいんですよね!」
さらに松本は、目を輝かせながら「僕が凄いなと思うのは、すごく頭のいい人のはずなのに、ものすごく幼稚な部分もちゃんと残してらっしゃって、結局、自分もこういう仕事をしてて感じるんですけど。いや僕はもともとアホですけど。いかに幼稚な部分を残しながら、技術を取り入れながら表現していくかっていうのはすごく難しくて。成長しすぎないよう努力するというか」と、童心の発想と卓越した技術力の融合を、エンターテインメントとして届けている宮本を絶賛。お互い業種は違えど、宮本の表現は松本の目指すところと近いものだったという。
松本はそれほど、彼の仕事に敬意を表しているからこそ、ゲームを破壊した高嶋の行動には、強い怒りを覚えたのかもしれない。
【参考】
・ワイドナショー(フジテレビ系)2016年2月21日 、2017年3月19日
・らじらー! サンデー(NHKラジオ第1)2017年5月28日
・松本人志大文化祭(NHK BSプレミアム)2011年11月5日
(柴田ボイ)