▼対戦ルール
・3分3ラウンド
・ボクシングルール
・8オンスグローブ
・体重は147ポンド=68.7キロ以下
・ジャッジは存在しない
・フルコンタクト競技、公式記録には残らない
今回はRIZINサイドが大幅に譲歩した結果、ボクシングルールで行われることになった。レフェリーはメイウェザー側が用意する。天心にとっては圧倒的に不利なルールとなったが、記憶に残る試合を期待したいところ。
日本時間7日には、アメリカにあるメイウェザーボクシングクラブで、両選手による2度目となる記者会見が開かれた。会見の前には天心が練習を公開。リングに上がって笑顔でバンテージを巻き、3分のシャドーを2ラウンド、ミット打ちを1ラウンド行い、世紀の一戦に向けて準備が進んでいることを、アメリカのメディアの前で示した。
会見で天心は「初めてアメリカに来ましたけど、全てが思っていたより大きい。試合は近いですがメイウェザー選手と試合をするために毎日練習しています」という。試合のオファーがあったときの感想を聞かれると「まず信じられなかった。こういうチャンスが来て、受けない選手はいないと思うのですぐに受けました」という。
「メイウェザー選手に一太刀いれるために練習をやっているので、人生を懸けてメイウェザー選手に全てぶつけていきたいと思います。まず日本人でメイウェザー選手と戦ったことのある選手がいませんので、そういう中で日本のアスリート代表として立ち向かいたいと思います。日本にも良い選手がいる事を世界に知ってもらいたいです。これを機に日本の格闘技界だけでなく世界中を巻き込んでいきたい。自分を信じてやるだけですね」と、天心は意気込んだ。改めてメイウェザー戦への意気込み語りつつ、世界的に有名なメイウェザーと対戦し、日本の格闘技を世界に知らしめたいという気持ちを示した。
一方のメイウェザーは駆け引きなのか遅れて登場。「俺が人々にエンターテインメントを届ける最高の手法だ。これはエキシビジョンマッチだが、俺に新しいことをチャレンジさせる良い機会だ。アマチュア時代のように世界中を旅してさまざまな生き様をしている選手達と拳を交えることができてうれしい。全てはエンターテインメントのためだ。9分間の究極のエンターテインメント。間違いなく素晴らしいものになる」と予言した。
続けて「俺はエンタメ業界の住人だ。俺は人々を楽しませるんだ。俺がやりたいことなんだ。3ラウンドのショーを見せるために身体を作っている。俺は当日リングに立ち、好きなことをやり、楽しむ。今も人生を楽しんで、この経験も楽しむつもりだ」と終始“上から発言”で、天心を挑発している。
天心はルールについて「3分3Rというルールをうまく使っていきたいです。メイウェザー選手も速いですが、自分にも速さはあるのでそこを活かして思いきってやりたい」と語ると「メイウェザーは完璧な選手。目が良い。反応も素晴らしい。相手に当てさせない事がうまい選手」とたたえた。
昔は「メイウェザーの試合には、あまり興味がなかった。アスリートの中で世界一のファイトマネーを稼いで豪華な生活をしている人くらいしか印象はなかった」という。戦うと決まってから試合映像を見ると、「改めてすごい選手なんだなと実感した」という。KOするチャンスがあるか問われると「メイウェザー選手をKOすることは非常に難しいと思うが、チャンスは必ずあるはず。その機会を多く作りたい」と謙虚だった。プロボクシング3階級制覇のホルヘ・リナレスのジムで取り組んでいるボクシングの練習については「ステップとかパンチのタイミングが違います。ボクシング(スタイル)で戦うつもりはない。ラスベガスでスパーリングをして手応えを感じています」と練習を通じて何かをつかんでいるようだ。
「記録には残らないが、記憶には間違いなく残る試合になる」。これはメイウェザー戦が決まってから、榊原信行実行委員長や天心がこの一戦に対してずっと思い描いていること。平成最後の大晦日、“神童”那須川天心は、フロイド・メイウェザーを相手に、日本を背負って勝負に出る。メイウェザーとの駆け引きは当日まで予断を許さない。日本の格闘技界を背負った那須川天心という20歳の若者を、1人でも多くの国民に応援してもらいたい。
文・どら増田
写真・©︎RIZIN FF