同番組は、毒親の定義として、過干渉や暴言、暴力によって子どもを傷付けたり、子どもを放置して親の都合を優先したりする親のことをさすと紹介。毒親に育てられると子どもは自己肯定感が生まれないなど弊害を生み、大人になってからも仕事がうまくいかず生き辛さを抱えると岡田氏は指摘。また、毒親の「乗り越え方」について、東は実母とのカウンセリング体験をもとに「親の期待に応えようと“いい子”であり続けようとした。でも大人になって『自分は何がしたいのか』が分からない人間になってしまった。親の物差しで価値判断をしてきたから、自分というものはなかった」と語った。カウンセリング後に母が謝罪してくれたことに触れ「開放された」とも語った。
全国の児童相談所における2014年の虐待相談の対応件数は、1999年と比べて7.6倍に増加している(2014年度、厚生労働省調べ)。虐待の増加に伴い、アメリカのセラピスト、スーザン・フォワード氏の著作『毒になる親 一生苦しむ子供』(毎日新聞社)が1999年に翻訳され、「毒親」というワードが世間に広がった。
番組の中で、武田アナが「毒親という言葉に抵抗がある。自分も“もっと勉強したほうがいいのでは?”と子どもに期待してしまう節がある」と親としての心境を語った。それに対して岡田氏は「ただ、やはり人間、親子といえども、それぞれ違う特性を持った存在。だから、親にとって、これが一番いい正解だと思うことを『こうしなさい』って言うことは、子供にとっては、全然的外れな答えを押し付けることになっているかも分からない」と返し、武田アナが「押し付けだったのかもしれない」と涙する場面もあった。
この放送を受け、「昔、母に叩かれたり暴言吐かれたことを思い出して、すごく胸が苦しくなった。過去に受けた傷はずっと消えない」「私が何をしても無関心で弟ばかりかわいがっていた両親。テストで100点をとっても褒めてもらったことがなかったのを思い出した」との声が。毒親に悩まされている当事者と思われるユーザーが寄せたものと思われる投稿があった。
また、「親が子どもを心配して何が悪いの? 武田アナのいうことは正しいと思う」「親の愛情も複雑なものだから、モンペとか毒親とか一言で決めつけないでほしい」「子どもがかわいいから過保護になるだけなのに毒親と言われると辛い」など親と思われるユーザーからの反応もあった。
親としては「子どものために良かれと思って」という感情から、武田アナの涙に同調する声が多いようだ。しかし一方で、「武田アナみたいに無自覚な毒親がほとんどだよ。うちの親も“あなたのため”とか言って無理やり習い事させてたからな」「休みの日に友達と遊ぼうとすると『お母さんを優先して』を怒られるんだけど、これって毒親?」など、子ども側からの怒りや疑問の投稿も散見された。
2012年、田房永子氏によるエッセイ漫画「母がしんどい」(KADOKAWA)が出版され、毒親である母親と子どもの日常が「リアルだ」と大きな反響を呼んだ。同作では、母親が小学生の子どもの夏休みの工作をほとんど1人で仕上げたり、子どもを無理やり塾に通わせ、愛読しているマンガを勝手に捨てたりなど、母親の過干渉ぶりがうかがえるエピソードが描かれている。暴力などの分かりやすい虐待だけでなく、子どもにていねいに接する「一見良い親」も毒親になってしまう可能性があることが世間に認知された例と言えるだろう。
番組終盤では、毒親問題の解決のために「間違っても大丈夫。そこから修正する勇気を持つことが大事」と岡田氏が持論を展開した。近年世間をにぎわせる毒親問題だが、親本人が自分の言動を反省し、子どもと正面から向き合うことができれば、解決への糸口が見つかるのではないだろうか。