「とにかく、勝ちたいね」と蓮見助手は言い切った。目立たないどこにでもいる条件馬が大変身を遂げたのが昨年の春から夏。4月の福島で500万下を突破すると、5月は新潟、9月に小倉で1000万下を連勝した。一昨年の未勝利勝ちから通算すると一気の4連勝でステップを駆け上がった。
その後は勝ち鞍から見放されているが、昨年11月の福島記念で2着するなど、重賞で通用する地力は見せている。
前走の新潟大賞典は12着。デビューから16戦目で初めて掲示板を外したが、これにははっきりした敗因があった。
「前走は上がりの速い展開になったにもかかわらず、最後方からの競馬でしょう。あれではさすがにどれだけいい脚を使っても届かないよ」と蓮見助手は振り返った。
やはり、この馬の持ち味は軽快な機動力を生かした好位差し。「やっぱり前々でしぶとさを生かす競馬でこそ持ち味が発揮できる」と期待を込めた。その長所を最も生かせるのが小回りの福島。過去<1100>の実績がそれを裏付けている。
デキもいい。新潟大賞典の後はいったん放牧に出されリフレッシュ。早くからここを目標に定めてじっくり乗り込まれてきた。「万全の仕上がり」という通り、27日の1週前追い切りは栗東の坂路で軽快な走りを見せた。800mこそ計時不能だったものの、600mから43秒1→27秒3→13秒1を余力たっぷりにマークした。
「GI、GIIだとチョイ足らずだけにGIIIのハンデ戦こそが勝負なんだ。結果を残している競馬場もローカルばかりだしね。夏場のこのレースは本当の狙いどころだし、重賞初制覇を飾りたい」
秋を見据えたりしない。「夏」「ローカル」「ハンデ戦」。3つの優良キーワードが重なったここで完全燃焼してみせる。