その年の世相を色濃く反映すると言われる暮れのグランプリ。「偽」が今年を象徴する漢字としてクローズアップされたように、多方面で偽装が話題になった。しかし「そんなの関係ねえ!」とばかりに、ウオッカが本物の強さを見せつける。
「ずっと順調にきている。馬体の細化もなくいい仕上がりだと思う。1週前の時点でほぼ態勢は整った」と村山助手はうなずいた。
CWコースで行われた1週前追い切りは軽快そのもの。エリザベス女王杯を取り消した後に挑んだジャパンCで4着した反動は微塵も感じられない。
そのJCは並み居る強豪を相手に後方から一気に末脚を伸ばした。8着に終わった6月の宝塚記念では肉体的にも精神的にも古馬との差を感じたものだが、深かった溝は一気に埋まった。
それを評価されたのだろう。ファン投票では堂々の1位選出だ。「とてもありがたいこと。一年の間に遠征中止やうまくいかないこともあったけど、終わり良ければすべて良し。そうなってほしい」
夢見た凱旋門賞の遠征を脚部不安で断念。エ女王杯も当日に取り消すアクシデントに見舞われた。良くも悪くも、ディープインパクトが引退した風穴を埋める活躍を見せたのはこの馬。山あり谷ありの一年を、大きな頂を上り切って終えるつもりだ。
かつて牝馬3冠のメジロラモーヌや女傑ヒシアマゾン、エアグルーヴにファインモーションといった名牝が超えられなかったグランプリの壁。それをウオッカが打ち破れるのか、不安視する向きもあるが、陣営に臆するところはない。
「脚質的に東京の方がという気持ちもあるけど、自分の競馬ができれば中山でも大丈夫。今年ラストの大一番、抜かりなく調整できたのでいい結果を期待したい」
フィギュアの浅田真央ちゃんにエリカ様、「どんだけ〜」は、ちょっと違うか。まあともかく今年も女が輝いていた。その象徴に、ウオッカがなる。