「ここを目標に調整してきたからね。叩いた上積みも十分だよ」
500kgを超す雄大な馬体。悠然と歩くスリーアベニューの傍らで宮本助手はうなずいた。前走のギャラクシーSは3月の高松宮記念以来の休み明け。8カ月ぶりの実戦という厳しい条件に加え、実績のない1400mだったにもかかわらず、何とか4着にまとめた。
「久々でケイコ不足だった。それであの内容ならよく走っていると思う」と改めて底力を認識したようだ。
1200mのダートでは鬼的な強さを発揮する。<6510>と完ぺきに近い成績。それを最も端的に表現したのが、昨年のこのレース、ガーネットSだった。
「強い競馬だったものね。4コーナーでは前との差がかなりあって、まともなら届かないような位置取りだった。次元の違う末脚で差してきた」と振り返った。
その言葉通り、4角はまだ12番手。不良馬場で前が圧倒的に有利な状況で重賞初Vを決めた。その後は裂蹄に悩まされ、わずか2戦で戦列を離れたが、今はそれもすっかり回復。連覇を狙える態勢を整えてきた。
「順調に攻めを消化できたから。坂のある中山だと持ち前のパワーを存分に生かせる。ディフェンディング・チャンピオンの力を示して、今年は大きく飛躍したい」
挑戦者から受けて立つ側へ。ここは単なる足がかりとばかりに決めるつもりだ。