とはいえ、前走・京王杯SCは前走は馬場の真ん中から抜けたスーパーホーネットに対し、大外を回るロスがあった。また、2走前の高松宮記念にしても、スタート直後に落馬寸前のアクシンデントに見舞われている。
着差はともに1馬身少々。力負けというよりは、運がなかった。そうとらえるのが自然だろう。短距離界随一の切れ味は今年も健在だ。
「前走にしても32秒台の上がり(3F)を発揮して負けたんだから仕方がない。むしろ、前が有利な馬場で、あの位置取り(4角15番手)。一番強い競馬をしたのはウチの馬じゃないかと思う」
敗戦の中にも収穫はあった。込山助手は京王杯SCの内容に満足げな表情を浮かべた。
ぶっつけ本番(5着)となった昨年に比べると今年はステップレースを挟んだ分、調整過程も完ぺきだ。1週前追いでは坂路で800m50秒4の好時計を叩き出した。手綱を取った武豊騎手も「さすがにエンジンが違う。よく動くよ」と目を丸くしたほど。状態は文句なしに今シーズン最高だ。
「千二の高松宮記念から直行した去年は、いきなりのマイル挑戦で引っ掛かる心配があった。それに比べて、今年は千四を挟んだことで馬自身も戸惑わずに走れる。昨年以上にチャンスはあると思う」
表彰台の両サイドはもういらない。今年に入ってたまりにたまったマグマが、マイル王決定戦で爆発する。