「昔は水商売というと一般女性から見れば特殊な職業だった。しかし、今はバイト感覚で簡単に始める子がいっぱいるでしょう。これだけカジュアル化すると、逆に特殊性で持って軽減された擬似恋愛の負い目のやり場がなくなって来るんですね」
水商売だから当たり前のことが当たり前でなくなってしまった。かつては、金銭的事情や、ヒモ、ヤクザの情婦、母子家庭など様々な“特殊”のキーワードがあったが、今はそれがない。
「事情の特殊性も既に特殊でなくなっている。ヤクザの“情婦”なんて認識はありませんから。彼氏の職業を聞くと、“○○系の構成員?”とか、“闇金です”なんて平気で答えちゃう。“オレオレ詐欺やってる”とかね」
お水を始める動機付けが希薄なので、店を持つなど自己実現の気概もない。お金を稼いだ次の展開がない。そんなこともホスト熱を後押しする理由のひとつに数えられるそう。キャバをやる理由がないから負い目の行き所がなくなる。それならいっそ、客の求めるものを与えてしまえばいいのでは?