報道機関の適当なジャンル付けで一括りに「モデルガン」と言われることが多いので説明しておくが、ここで言うモデルガンとは銃器の外観や機構を模した弾の発射機能の無い遊戯銃(トイガン)ことである。プラスッチク製弾丸の発射機能を持つトイガンはエアソフトガンと呼ばれて、厳密にはモデルガンには含まれない。火薬を発火さえる機構を持っているものを海外ではキャップガンと呼んだりもするが、それらの機種は日本ではすべてモデルガンに含まれる。では、そのトイガンがなぜ需要を伸ばしつつあるのか、どうやら最近の漫画やアニメの人気が影響しているようだ。
それを裏付ける証拠として、エアソフトガンメーカー、東京マルイの商品化希望アンケートがあげられる。関係者の話によると「スチェッキン・マシンピストル」が2006年辺りからランキング上位の常連となっているそうだ。急にこの頃から順位が上がっているところをみると、これは間違いなくTVアニメ化された『ブラック・ラグーン』の影響が強く反映されているのであろう。バラライカの姉御、ホテルモスクワの構成員は日本にもいるようだ。同作品の主人公、いやヒロイン? のレヴィが愛用する作中オリジナル拳銃「ソードカトラス」もKSCで限定発売され、瞬く間に完売するなど、同作の人気はかなりのものだ。
他にも『GUNSLINGER GIRL』や根強い人気を持つ『ルパン3世』などのおかげで、最近ではエアソフトガンはサバイバルゲームに使用する以外に、純粋にディスプレイモデルとして求める人が急増しているという。ちなみに、アニメ好きの知り合いのカメラマンなどはそれでは飽き足らず、自分の娘にBAR M1918A2やステアーAUGを握らせて撮影までしていた。「GUNSLINGER GIRL見てて思ったけど、やっぱり少女と軽機関銃やライフルとのミスマッチはいい!」とか得意気に話して写真も見せてくれたが、その二挺は原作的に縁起が悪すぎるだろう…。
そんなことはさておき、この状況はモデルガンメーカーにも追い風となっているようだ。過去の度重なる規制で鑑賞用としてスタイルをほぼ完成しており、少数生産ではあるが、不良在庫になる確率が少なく堅実な売り上げを続けている。皮肉にも今の上がり調子になったのは老舗メーカーのハドソン産業が営業を休止した後であったが…。
最近では大河ドラマに合わせてマルシンが坂本竜馬が使用した拳銃のモデルガンを発売するなど、各モデルガンメーカーが積極的に新商品開発にのりだし、勢いは増しているといっていいだろう。
この波は今しばらく業界の売り上げを支えてくれそうだ。