送り出すのはスリープレスナイト、カノヤザクラの孝行娘。もちろん、ワンツーフィニッシュの可能性まで十二分に考えられるが、管理者という微妙な立場からすると、後先に関するコメントは非常に出しづらいところだ。
しかし、指揮官は違った。“甲乙つけがたい”というありきたりな決めゼリフで逃げることなく、「それでも勝つ馬は一頭」と言い切った。熱い視線を一身に浴びせたスリープレスナイトには絶対的な自信があると断言できる。
「勝った直後の馬上から、ノリ君(横山典騎手)が“この馬、芝でも絶対に走りますよ”と言ってくれたんだ。あのひと言が芝に進路を変える大きな分岐点になった」。その京葉S後はダート戦の栗東Sを挟み、CBC賞→北九州記念を完勝し、破竹の4連勝。しかも、勢いはまだまだ止まりそうにない。
「先週のあの重い坂路で(800メートル)49秒6。フットワークが雄大なのに、回転力があるからあれだけの時計が叩き出せる。競馬にいってもスッと好位を取れるし、道中、無理なく脚をためられる分、前に行っても直線でもうひと伸びできる」
競馬の神様から授かった天賦の才は、先行馬が断然有利な中山のスプリント戦においては絶対的なアドバンテージ。加えて、GIホルダーが冠を射抜いた当時の勢いがない現状なら、大願成就も夢ではない。