メジャー最激戦区といわれる東部地区や、今年から西岡剛(前・ロッテ)の加入したミネソタ・ツインズの所属する中部地区にももちろん注目だが、今年のア・リーグ最注目は西部地区ではないだろうか。
その理由として、シアトル・マリナーズのイチローの11年連続200安打がかかっていることと、筆者の一番尊敬する野球選手である松井秀喜がオークランド・アスレチックスに移籍したことも大きな理由であるが、その他にも、ア・リーグ西地区に所属するあとの2球団が今年、創立50周年のアニバーサリー・イヤーを迎えたことも、注目の理由なのである。
その2球団とはMLBファンの方たちにとっては言うまでもないが、昨年松井秀喜が在籍して、今年から入れ違いでニューヨーク・メッツから移籍した高橋尚成の在籍するロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムと、昨年、初のア・リーグ優勝を飾り、日本ハムから移籍した建山義紀が今季から在籍するテキサス・レンジャーズである。
MLBは1901年にアメリカンリーグとナショナルリーグ(以下ナ・リーグ)に分かれて以来、60年の永きに渡って両リーグとも8球団ずつの時代が続いたが、初のエクスパンション(リーグ拡張)によってロサンゼルス・エンゼルスとレンジャーズの前身であるワシントン・セネタースが新規参入したのが、今からちょうど50年前の1961年であった。
特にエンゼルスは球団創立時点から米国西海岸の都市を本拠地とする初の球団となった。ア・リーグの結成当時から加入しているアスレチックスは、当時はカンザスシティにあり(カンザスシティ・ロイヤルズは、当時まだ創立していない)、ナ・リーグ所属のロサンゼルス・ドジャースとサンフランシスコ・ジャイアンツは、その頃にはすでに現在の本拠地に移っていたが、元々は両球団とも本拠地はニューヨークであった。エンゼルスの創立によりMLBは本格的に米国全土で試合が行われるようになったといえるかもしれない。
レンジャーズの前身のセネタース(厳密に言うと、ワシントン・セネタースは「2代目」にあたり、初代セネタースは1961年よりミネソタに移転した、現ミネソタ・ツインズである。だから今年はツインズのミネソタ移転50周年ということにもなる)は11シーズンの間、ワシントンを本拠地として、1972年より現在のテキサスに移転したので、来年はレンジャーズのテキサス移転40周年となる。だからレンジャーズも2年連続でアニバーサリーイヤーを迎えることになり、こちらも要注目といえる。
全4球団と、他の地区に比べて所属球団の少ないア・リーグ西地区だが、イチローのマリナーズ、松井のアスレチックス、そして創立からついに半世紀を迎えた高橋尚成のエンゼルス、建山のレンジャーズと、4球団すべてに日本人大リーガーが在籍し、日本のメジャーファンから一番注目を浴びると思われる。
秋のプレーオフに進出できるのは4球団のうちのどのチームになるか、大いに楽しみである。
文中・敬称略
(野球狂のアキバ系・伊藤博樹「なんだかんだ一番応援してるのは松井の在籍するアスレチックス」 山口敏太郎事務所)