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阪神JF 雑草娘イナズマアマリリスが怪気炎

 いずれアヤメかカキツバタ…。来年のヒロイン候補を決める「第60回阪神JF」(GI、芝1600メートル)は14日、阪神競馬場で行われる。目下の勢いに乗じ、主役の座を狙うのは道営からやってきた雑草娘イナズマアマリリスだ。転厩初戦のファンタジーSを13番人気で快勝。その後も順調で、距離延長もプラスに働く。祖母は1992年にこのレースを制したスエヒロジョウオー。16年の時を経て、一族の誇りを取り戻すか。

 彼女のしぶとさと根性は歩んできた道と重なる。6月、今季をもって開催がなくなった旭川競馬場でひっそりとデビューしたイナズマアマリリスは、コツコツと…そして着実に力をつけてきた。
 その走りにスポットライトが当たったのは前々走の札幌・すずらん賞だった。中央の素質馬相手に2着と健闘。これが評価され、松元厩舎への転厩が決まったのだ。

 前走のファンタジーSはJRA馬として初めてのレース。しかし、堅実な成績を残してきたにもかかわらず、13番人気の低評価だった。
 だが、ゲートが開くと豊富な経験を生かし、とても人気薄とは思えない堂々としたレースを展開した。道中は3番手でジッと我慢。そして、追い出されると馬群の内をしっかりと伸びて、ワイドサファイアなどの人気馬を退けた。
 「ケイコの感じから通用すると思っていた。それにしても、思った以上にレースが上手だし、気を抜かずに走ってくれる。一番いいのは心肺機能だな」と松元調教師は振り返った。
 松元厩舎にやってきたのは、同じく師の下で活躍した父スエヒロコマンダーが結んだ縁だった。そしてその母、スエヒロジョウオーは1992年、阪神JF(旧阪神3歳牝馬S)を制している。

 「改装でコース形態はかわったけど、それでも阪神のマイルは合うでしょう。折り合いに不安がないから、1Fの延長はむしろプラスだしね」
 栗東の水にもすっかり慣れて、調教の動きはさらに良くなっている。3日に行われた1週前追い切りは栗東DWコースで6F83秒5、ラスト1F12秒5。併走馬に0秒1先着としっかり根性を見せた。
 「動きは良かった。前走で体は14キロ減ったが、あれでちょうどいい。相手は強くなるけど、馬なりで好位に取りつけるし、十分楽しみはある」

 一見、地味な血統だが、母方の祖母にも91年のクイーンS勝ち馬イナズマクロスがいる。父母両方から受け継いだしぶとさを武器に、アマリリスは2歳女王を見据える。

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