メインMCは、元NHKキャスターの堀潤。現在、TOKYO MXの平日朝、『モーニングCROSS』のメインキャスターを務めており、すっかり“都民の朝の顔”となっている。その一方で、ダウンタウン・松本人志が忌憚ない意見を述べることで大注目の『ワイドナショー』(フジテレビ系)にも、セミレギュラー出演中。豊富な知識に裏打ちされた確かな見解で、松本から絶大な信頼を得ている。ジャーナリストとして、脂が乗っている堀。そんな彼が、苦労して手に入れた地位を手離しかねないほど身を削っているのが、『モノクラ〜ベ』だ。
スポンサーがないため、CM企業に媚を売る必要がない→地上波と異なり、規制が緩い→コアターゲットが有料放送(スカパーやNetflix、Amazonプライムなど)に流れてくる…という時流と期待に、とことん応えている。ラインアップされるゲスト、テーマがよりディープになるなか、『モノクラ〜べ』はCMなしの利点を生かして、巷にあふれる有名商品や食品の同系企業・同種類を2つピックアップして、“物比べ”。消費者が抱く素朴な疑問を発売元にぶつけ、矛盾点があると、その分野に詳しい専門家や研究員にもアタック。リリース側の逃げ道をとことんふさいでしまう、恐ろしい番組だ。
14年10月にスタートして、シーズン9への突入が決定。すでに、100品以上が吊るし上げられている。大流行の最新家電ではお掃除ロボット、ノンフライヤー、バルミューダのトースター、超音波加湿器や電子タバコまで。身近なところでは、スターバックスvsタリーズコーヒー、富士そばvsゆで太郎、花王vsライオン、マクドナルドvsロッテリア、すき家vs吉野家、ピザーラvsピザハットほか。ドリームマッチと呼ぶにふさわしい戦いだ。
関心が高かったのは、コンビニおにぎり。それも、セブン・イレブンとローソンのガチンコ対決だ。争点は、保存料や添加物の含有。そこで、主婦が握った無添加おにぎりと、それが握られた同時間帯に先の2店舗で購入したおにぎりを、それぞれタッパーに入れて、直射日光が当たらない常温の部屋で10日間、放置。腐敗を比べた。すると…。
主婦のおにぎりは当然、カビが生え、米が変色。一方、コンビニおにぎりには、カビ・変色が認められなかった。そこで、それぞれのお客さま相談室に電話して、疑問をぶつけた。結果、「国の基準以下」の保存料が入っていることが確認された。しかし、番組はそこで終わらず、食品学科の専門の大学教授に追加で調査。人体の安全性が証明されて、ようやくお開きの運びとなった。
スッポンのような取材力。人の顔色をうかがいながら生きている現代社会人にとっては、スカッとすることこの上ない。ちなみに、オンエア時間は日曜ゴールデン(21時〜)。さすが、BSスカパー!。攻めている。
(伊藤雅奈子)