日本で定年退職し、生活費が日本に比べて安い海外で年金生活を送る日本人は年々増加。特に、日本に近く気候も温暖、なにより物価が安いという理由で、東南アジアの国々にはリタイア組のコミュニティーがあり、専門の仲介業者もあるほどだ。
「しかしフィリピンは治安が比較的悪く、マレーシアはイスラム教国というネックがある。その中で、観光地としても有名なタイは根強い人気。特に男性の単身者には現地の若い女性を“現地妻”や家政婦として身近に置けるという“極上”の楽しみもある。しかし、'12年にインラック政権が最低賃金の値上げに踏み切ったことで人件費が高騰して物価も上がり、生活難となる年配の日本人が増えているのです」(現地記者)
たとえば首都バンコクで日本のラーメンを食べようとすると、1杯が200バーツ(約700円)だったのが300バーツ(約1000円)に跳ね上がっている。また、バンコク市内の大手クレジット会社の事務所にある「会員向け無料コーヒーコーナー」には年会費2000バーツが払えなくなった元会員の年配日本人男性が、毎日無料コーヒーを目当てに詰めかける事態に。
「物価の安いチェンマイやチェンライなど地方都市への日本人流出も急増。そんな地方都市でも『間もなく年金が振り込まれるが、至急お金が必要なので少し貸してほしい』と、同じ日本人に金を無心する人も増えています」(前出・記者)
現地タイ人と同じように、屋台で食事すれば1食50バーツ(約160円)で済むのだが、辛い食事に適応できるほど柔軟性もなく、いつの間にか生活困窮に陥り“リタイア・プア”に転落。
もはやタイは“苦笑の国”と化しているのだ。