選手会、そして、ファンの要望通り、プロ野球は「4月12日のセ、パ同時開催」となったが、“本当の戦い”はこれからではないだろうか。節電計画で本拠地球場を使用できないチームもそうだが、阪神も『日程調整』でかなりの打撃を被ることになるだろう。
「8月は本拠地・甲子園球場を使えません。そういうチームの事情も考えると、阪神が被る日程面での過密ぶりは他球団よりも負担の大きいものになる」(球界関係者)
セ・リーグ全体としても、同時開幕による『リスク』は大きい。ドーム球場を本拠地に持つ球団は、巨人と中日だけ。パ・リーグで「屋根付き球場」を本拠地に持つのは、日本ハム、西武、オリックス、ソフトバンク。セは雨天中止などによる『試合予備日』を設けながら、公式戦の日程を組んでいかなければならない。「4月12日のセ、パ同時開催」は、『臨時・オーナー会議』の承認を得て決定したものだが、阪神は 「東西・時差開幕案」なる独自のプランも温めていた。
「計画停電の影響を受けない中日、阪神、広島は『在京球団よりも一足早く』というものでしたが、早期開幕による国民的反感の強さを受け、議案提議されませんでした」(前出・同)
ファン、選手会と、過密スケジュールを避けたいとする経営陣。両者を繋ぎ止める「阪神なりの折衷案」だったのかもしれない。
「打撃面で不安を抱えているのは、新井だけではありません。右肩の故障で手探り状態の続く金本、左ヒザにメスを入れた城島…。実戦練習の機会は限られていますし、序盤戦の阪神は打撃力のダウンを想定しての戦いになるのでは」(前出・関係者)
地方球場に行けば、観客動員数は落ちる。興行収益のダウンは選手の契約更改にも影響をもたらすだろう。
新井は気丈にも「全試合フルイニング出る!」と語っていた。選手会長としての今回の毅然とした対応に共感を持った他球団ファンも多いはず。選手会長が好機で三振し、下を向く姿は見たくない。