執拗な抗議に谷塁審が「遅延行為で退場処分になる」と事前に警告したのに、「オレは変えられないから、それしてもらっても大丈夫」と答えたという落合監督。それだけではない。試合後に記者団にこう言い切っているのだ。
「2度としないと思っていたけど、やっぱりあったな。そのうちまたあるかもしれない」。「本当は施設の中にいちゃいけないんだけどな、厳密に言えば」。
昨年も2度退場させられている落合監督は、反省するどころか、「そのうちまたあるかもしれない」と、平然と次の退場を予告しているのだ。さらに、退場させられたら、球場から退去しなければいけないことを知っていながら、三塁ベンチ裏の部屋にとどまっていたというのだから、悪質きわまりないだろう。
要は、完全に審判団をなめきっているのだ。それも当たり前だ。「厳重注意」などという、一番軽い処分では反省するわけがない。昨年の2度の退場処分も、1度目は今回と同じ、5分を超える抗議をして「遅延行為で厳重注意」どまり。2度目は選手をベンチに引き上げさせる行為をしたことで「制裁金10万円」を科されたが、これでも甘すぎる。
「審判に対する暴力行為、暴言は無条件に試合出場停止処分」として、その悪質の程度によって試合出場停止の期間を決めればいい。今回のような歴然とした悪質な確信犯の退場に対しては、100万円単位の罰金を取るべきだろう。本人が痛いとこたえるような金額でなければ、意味がない。
それでなくとも、巨人、阪神、中日の3球団による激烈な優勝争いをしているセ・リーグと、西武、ソフトバンク、ロッテ、日本ハム、オリックスの5球団による大混戦ペナントレースと繰り広げるパ・リーグ。両リーグ共にこれから大詰めを迎え、猛暑、酷暑の中、試合がオーバーヒートして、審判の判定に対し、抗議が多くなることは容易に想像される。
一罰百戒。退場者には厳罰を科して、トラブル発生を未然に防ぐ必要がある。現場の監督、コーチ、選手にとって、一番身にしみるのは、出場停止処分だ。次いで高額な罰金だ。億単位の年俸をもらっている監督、主力選手にとっては、10万程度の制裁金では蚊に刺されたようなものだろう。
だから、実際に退場処分になる者が後を絶たない。そのうえ、今回の落合監督のように、堂々と次の退場を予告する不謹慎な輩まで出てくるのだ。本塁打判定にテレビ局の映像を借用しただけのビデオを導入、審判の地位を大幅に低下させた最悪の手を打った12球団代表の大罪も許せない。「ビデオ導入で判定が覆ったケースが多い。その効果は絶大だ」と自画自賛しているバカな球団代表がいるらしいが、ビデオ導入で審判には「どうせビデオで確認するのだから」という、変なあきらめムードが漂い、きわどい判定に対する毅然とした態度がなくなっている。こんな重大な弊害のあるビデオ判定なども廃止、審判に責任感をもたせ、退場には極刑を科す必要がある。