月刊誌『マンスリーよしもと』(現『マンスリーよしもとPLUS』)が選んだ「男前ランキング」で、2003年〜05年まで連続首位。初代のロンドンブーツ1号2号・田村亮に続いて、2代目の殿堂入りとなったチュートリアル・徳井義実。地元・京都に在住時代は、モデル経験があるほど、ルックスは申し分ない。
しかし、お笑い芸人の場合は時として、その高い顔面偏差値が仇となる。おもしろいうえに顔もいいことを理由に、ブサイク芸人から嫉妬されるからだ。それを逆手に取った徳井は、まだ関西で活動していたころに、トリオ「エロ三羽烏」を結成。ただひたすら、ド変態な本性をさらけ出すためだけに、ランディーズ・中川貴志、ビッキーズ・須知(現:すっちー)で決起した。放送禁止なアダルトトークをしゃべるイベントは、ゆるやかに人気が上昇。今年7月には、初のユニットグッズとして、まさかのコンドームを発売するほど支持されるようになった。
三羽烏の1員としてカミングアウトした徳井の性癖は、コスチュームプレイ。すでにナース、レースクイーン、チアガールの3着を所有している。かつてのお気に入りは、自慰行為に励む自分を、チアガールの衣装を着た彼女に応援してもらうプレイ。果てた“後処理”まで彼女にしてもらうのが、プレイ内容だ。女優・夏川結衣と交際する、ずいぶん昔の出来事である。
徳井の変態パワーは、想像と妄想がルーツになっている。父は絵に描いたような厳格で、物心がついたころから、気軽に対話できなかった。「はしゃぐな!」、「調子に乗んな!」が口癖の父権。幼少期に無邪気という概念を忘れ、入れ替わるようにして想像力が養われた。誰にも邪魔されないひとり遊びが苦ではなくなり、小学5年生のときに学校でいじめられ、不登校・ひきこもりになってからは、それにいっそう磨きがかかった。
『M-1グランプリ2006』を制した際、「妄想漫才」と揶揄されたチュート。恵まれたマスク、巧みな話術、コントで鍛えあげられた演技力でメキメキ頭角を現した徳井は、“数字を稼げる”タレントとしても大成した。8日(土)には、豪華俳優陣を脇に飾る初の主演映画『莫逆家族』(バクギャクファミーリア)が公開される。それは、根暗がゆえに表現できた、37年間ぶんの集大成となるはずだ。(伊藤由華)