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借金まみれ森ビル「六本木ヒルズ」「上海ヒルズ」の命運(1)

 上場会社だったら株価は大暴落していたのではないか−−。
 東京の六本木ヒルズや上海の超高層ビルで知られる森ビルの森稔会長が、3月8日に死去した。享年77。そのニュースに市場関係者は、同社の危うい前途を指摘する。
 「大型開発では特別目的会社(SPC)を組成して投資家などから資金を募る方式が主流です。これに反して森ビルは昔気質というのか、銀行借り入れで調達し、ビルの賃料収入で返済する方式を取ってきた。最近でこそSPCを併用したとはいえ、これでは借金の山を築いて当たり前。カリスマ経営者の死去が、今後の経営に与える影響は絶大です」

 森ビルは売上高が約2090億円で、純利益は約70億円(昨年3月期)。これに対して有利子負債、即ち借金は約7000億円もある。実に売上高の3.5倍、純利益の100倍だ。数字に多少の変動はあるにせよ、森ビルは長年にわたって借金を頼りに“バブル錬金術”で命脈を繋いできたのである。
 その際、銀行に対する信用の裏付けとなったのが、創業者である森泰吉郎氏(故人)の次男、森稔会長の存在にほかならない。社長就任は19年前の1993年。父親の死去に伴ってのことで、この時に三男の章氏がグループ会社、森ビル開発(現・森トラスト)社長に就いている。
 稔氏は昨年6月に、社長ポストを辻慎吾副社長(当時)に譲って会長に就いた。森ビルが創業家以外から社長を輩出するのは初めてのことだったが、それでも依然として稔氏が“森ビルの顔”であることには変わりはなく、実際トップ交代の記者会見で自ら「今後も保証人の立場で居続けたい」と公言していた。

 実は森ビルで次期社長の本命と目されていたのは、娘婿の森浩生専務だったのだが、なぜか社長レースから脱落した。当時、稔氏は後継者に辻氏を指名した理由を「森ビルは既に社会的存在になっている。だから森家にはこだわらない」と強調し、「森家の誰も辻君に勝る手腕は持っていない」とまでヨイショした。
 「あのサプライズ人事には稔さん一流の巧妙な仕掛けがある。辻社長の下で借金まみれの体質を刷新し、その後で娘婿にバトンタッチしても遅くないとの判断です。つまり辻社長の最大の仕事は、娘婿に社長ポストを引き継ぐまでに限りなく借金を減らして普通の会社にすること。そう解釈すれば稔さんが、記者会見で辻さんをあそこまで褒めちぎったことが理解できるというものです」(経済記者)

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