小回りの福島ならではの絵に描いたような逃げ切りだった。好スタートから果敢に主導権を取ったミヤビランベリ。1000m通過が60秒3という理想的なペースで快調に逃げ脚を伸ばす。直線を向いても脚色はまったく衰えず、ゴール前、外ミストラルクルーズ(2着)、内マイネルキッツ(3着)の猛追をしのぎきって重賞初制覇を飾った。
「先生(加藤敬師)からは馬と並んでいるとダメだから、できれば逃げてくれといわれていました。楽に行けたし、リラックスして走っていた。道中は馬場のいいところも通れましたから」と、テン乗りで金星を挙げた吉田豊騎手はしてやったりの口ぶり。
「自分の競馬をするだけだったので、4角を回って早めにスパートしました。後ろがなかなかこなかったし、直線で手前をかえてからも粘っていたのでこれならと思いました」
管理する加藤敬師にとっては、2001年の小倉大賞典(ミスズシャルダン)以来、久々の重賞勝ち。「今日はすんなり行けたことにつきるね。気性が勝っていて、その日にならないと分からない馬だけど、持ち時計があったし、気分良く走れればと思っていた。3歳時に骨折して、今でも右前脚にボルトが入っている。その関係か、左回りでは手前をかえない。右回りになったのも良かった」と笑顔が弾けた。
展開に恵まれた部分はあったが、骨折で長い休養があり、キャリアはまだ11戦(4勝)だから前途は洋々。次走については「1、2週、馬の状態を見てから決めたい」(同師)としたが、今回の勝利でサマー2000シリーズに向かうことになりそう。七夕に現れた新星の今後が注目される。
それにしても、夏の珍事とでもいうべきか、先週の自己条件(阿武隈S)を除外された2頭が重賞でワンツーを決めるとは誰が想像したことだろう。だからこそ競馬は難しくもあり、面白くもある。