これまでは後方一気の競馬が目立ったディープだが、この日は中団から早めに進出して抜け出す新味を見せての勝利。「馬に負担をかけたくなかったからね。ゴチャつく競馬はしたくなかったし、スペースがあいたので(早めに)前に行った」と四位騎手は振り返った。
道中で少し掛かる面はあったが、ブラックシェルの追撃をクビ差封じたあたりは変則2冠馬の底力か。反応にややズブさの感じられた直前追い、久々で6キロ減っていた馬体もすべてが杞憂に終わった。何より、自力で勝ちに行って前を捕らえたレースは収穫が大きかった。
「最後は(武)豊さんの馬が見えてヒヤッとしたけど、あれで我慢がきくんだから力をつけているね」とジョッキーが語れば、昆師も「こんな競馬をしてほしかった。いつもいつも後方からではね」と唯一欠けていた自在性をマスターした愛馬に相好を崩した。
復帰戦としては、ほぼ百点満点に近い内容。次なるターゲットは菊花賞か、天皇賞・秋か。これから数日間、陣営はぜいたくな悩みの種を抱えることになる。