事の発端は2月12日。お笑いコンビ・シューマッハの中村竜太郎が自身のブログで加藤の小説のファンであることを告白したものの、加藤が「歌って踊れるイケメンな上、文才まで兼ね備えた、若くして富と名誉を手にしている完璧な男」であるがゆえに中村は加藤に対して嫉妬心を抱いたという。中村は加藤の著書を全て図書館で借り、印税が入らないようにしていることを明かした。
ジャニーズファンを中心に中村のブログが話題となると、3月4日に放送された加藤のラジオ番組『SORASHIGE BOOK』(FMヨコハマ)で、加藤はブログ記事を取り上げた。「最初にブログを読んだときは『買ってよ』って思ったけど、あまりに切実で熱を感じた」と加藤は言及。「なんなら差し上げたいくらいの気持ちでいるんですけどね。いつかお会いできたらうれしいです」と語った。
この対応に中村は歓喜。5日に更新したブログで「『中村竜太郎』から『中村リュウタロウ』にしたいくらいです」と喜びをつづった。
しかし、加藤の神対応はこれだけではなかった。実は2月、ツイッター上の読者投票で年間の大賞を決める文学賞『第8回Twitter文学賞』の投票が開始されたのだが、一部NEWSファンの間で加藤の小説『チュベローズで待ってる』に大量に投票しようとする動きが起こり、これが「組織票問題」に発展。ツイッターをにぎわせていた。
発起人である書評家の豊崎由美が「こんな形でたとえ1位になったとしても『これ、組織票で1位になったんだぜw』と笑われるだけです」「贔屓(ひいき)の引き倒しになってしまうので、やめたほうがいいと思うのです」と注意を喚起する事態にまで発展してしまったのだ。
しかし、騒動が耳に入ったのか加藤は事態が起こってすぐにJohnny’s webの有料ブログを更新し「組織票問題」について言及。『Twitter文学賞』を毎年楽しみにしていることを明かし、騒動に対し「アイドルとして応援したい気持ちがあるのならば投票は控えてほしい」と呼びかけたのだ。
結果、『チュベローズで待ってる』は圧倒的票数で国内編1位を獲得したのだが、加藤の対応もあって文学ファンの多くは結果に好意的。ツイッターにも「加藤君の対応には心の底から感心した」「アイドル加藤シゲアキより先に、作家・加藤シゲアキに惚れました」「得票に関してはいろいろとあったようですが、この作品はとても面白かった」といった声が集まった。
ジャニーズタレントが芸能以外の分野に進出することを良く思わない層は一定数おり、加藤の小説家デビューも初めこそ色物扱いされていたようだ。しかし、良質な小説をコンスタントに発表し続けたからこそ、文学ファンからの理解も得られるようになったのだろう。
ハプニングが起こったとしても、それを真摯に受け止められる度量があるからこそ、作家・加藤シゲアキは成功を収めているのかもしれない。
記事内の引用について
中村竜太郎公式ブログ https://ameblo.jp/happyboys-ryu
豊崎由美公式ツイッター https://twitter.com/toyozakishatyou