皐月賞を制した川田騎手を背にシングライクバードがオークスの切符をつかむ。
「開幕の東京は前有利の馬場だって? そんな次元の馬じゃない。差し切る脚はあるし、ここでは負けられない」
杉村助手はこう豪語する。
前走のフラワーCでは逃げた馬が残るスローの展開。じっくりと後方から構えていった同馬には不向きな流れとなった。それでも直線では最速の上がりで3着。負けはしたが、素質の一端を垣間見せた。
「3角からペースアップする中山コースは、ノンビリと行くこの馬には不向きだった。ずっとオークスを目標にしてきたので、慌てさせる競馬はしてこなかったんだ。結果は負けたけど、あの位置からよく追い込んでいる」
今回はじっくりと構えていける東京。デビューからオークス向きといわれてきた素質馬にとっていよいよ本領発揮の舞台がやってきた。
「まだ教えることはたくさんあるけど、古馬になればとんでもない化け物になる。それくらいの素質を秘めているし、3歳のこの時期ならポテンシャルの高さだけで押し切れる」
西の最終兵器がいよいよそのベールを脱ぐ。
【最終追いVTR】川田騎手を背に単走で追い切られた。ゴール前は鞍上の手綱がわずかに動いたが、その仕掛けに鋭く反応。馬体減りも見られず、引き続き好調子だ。